徹底集中肌質改善美容大学院

今月は、首のシワについてのお話をします。

首のシワは従来のスキンケア―の考え方では、消したり薄くするのは殆ど不可能です。

その理由は,首のシワは皮膚に問題があるのではなく、その下にある筋膜網の張力の低下が原因しているからです。

また、部分的な筋肉トレーニングや骨格の矯正の組み合わせによるケアーも、多くの場合一時的な効果で持続できません。

何故かと云うと、体全体にも云えることですが、特に首の場合は喉の周りの前面は比較的筋肉が少ないため、アゴ（下顎骨）と胸の骨（胸骨）の間での上下左右の筋膜網の張力が首の前の弾力や滑らかさを決めているからです。

首のシワが出来る場所を調べてみると、多くの場合、舌骨の上と喉ぼとけや気管の周辺に横輪状に深く３～４本できています。

一般的に云うと、不良姿勢や疲労、うつ的感情障害が原因で、頭部が前方に移動して顎が前に出ると首の前側の中央が盛り上がり、筋膜網が過度に伸張されて収縮力を失い、緩んでしまいます。

一般的な、今までの研究では、首に対する頭の重さ（約８，５キロ）と下への重力牽引力の働きで頸部が圧縮して過度に前彎してしまうことで、喉の前の部分がたるむことが原因と考えられてきました。

しかし、実際には、それとは違うことが原因です。

そこで、少し詳しくお話することにします。

首（頸部）の立体的構造は、構造物に例えると、首の前側では頭＝首の縦の垂直ラインと、鎖骨＝胸骨の横の水平ラインをそれぞれ適度な張りのある輪ゴムで囲み、さらに、全体を大きな輪ゴムで緩く囲んだ状態になっています。

この輪ゴムは、それぞれの組織（神経・血管・筋肉）や骨を包む筋膜網のことを指しています。

首の後ろ側では、肩甲骨＝上部胸椎の水平ラインと、後頭部＝頸椎部の縦の垂直ラインと肩と頭の正三角ラインをそれぞれ輪ゴムで囲み、さらに、全体を大きな輪ゴムで囲んだ状態になっています。

さらに、それらの輪ゴムと輪ゴムの間にまた輪ゴムを回して多角形を作るように包むことで、頭部と首と肩でそれぞれの輪ゴムで包まれたボックスを作り、弾力性のある形にしています。

首の内部組織（咽頭・喉頭周辺）での構造もそれぞれ、互いに接触しないように、輪ゴムで囲まれています。

そして、これらの輪ゴムで囲まれた構造物（首の内部）は、コロイド状の粘性液の入っている水槽（皮膚でできた丸い筒状の水槽）の中に、入って浮かんでいるような状態になっています。

この水槽（皮膚でできた丸い筒状の水槽）の中で、それぞれの骨・筋肉・頸部内臓・神経・血管が独自の位置を保ち、互いに引っ張り合いながら、全体として弾力性のある首を形づくります。

ここで、この首のシワに大きく影響する筋膜の連続性について少しだけお話しします。

首にある全ての内容物を包んでいる首の筋膜網は、喉の奥で首の骨（頸椎）の前側を支えて付いている筋膜（前縦靭帯に付着）から胸椎や腰椎の椎体前面部から下に降りてゆき、骨盤の仙骨から尾骨の先端まで続きます、そこから、今度は前に移動して骨盤の下（骨盤底の隔膜や肛門挙筋）を包みながら、さらに上に登り前面の恥骨につながります。

そこから、今度は恥骨の裏からお腹の腹筋の裏を通過してそのうえの胸郭の中の横隔膜に繋がります。

そして、そこから上の胸郭の骨（胸骨や肋骨の裏面に張り付きながら）の裏から喉の前を上り、最終的に舌と顎の先端のオトガイに止まり終わります。

つまり首の構造は、体の内臓を包みながら縦に一周して前側の顎に付く、筋膜で作ったつり革の

ストラップ袋の鞘の一部なのです。

したがって、これらの何処かで歪みがあると、その変化は最終的に首の鞘（皮膚でできた丸い筒状の水槽）の変形と張力のアンバランスを引き起こします。

さらに、具体的に云うと、首のシワのできる原因に深く関係する筋膜には２種類の筋膜が関係します。

１は横隔膜から上の舌骨や甲状腺の手前を上り、顎（下顎底）に行くルートと

２は横隔膜と繋がっていて、その上にある心臓の心膜を包みながら、上に上り、気管や甲状腺や咽頭（頚部内臓）を包んで、頭の下の骨（頭蓋底の後頭骨）にぶら下がるルートに分かれます。

首の深いところでは、首の骨（頸椎）と喉頭や咽頭や甲状腺（頸部内臓）の間や胸の中心（胸骨）からアゴ（下顎骨オトガイ）の間に筋膜の隙間があり、筋膜で囲まれた袋状の空間があります。

その中に首の筋肉や神経や血管が通り、脂肪が包まれています。

ここでもう少し詳しくお話しすると、首の周りは皮膚と直接つながるの浅層筋膜を含めると４重の層になっており、さらに首の各部位を６箇所の袋（６面体）に分けて筋膜が包んでいます。

そして、この６個の筋膜部位がそれぞれお互いに適度の張力で引き合い首の内側の筋膜網構造の弾力と位置を保持しています。

実は、この内側の６か所の袋状の筋膜の張力低下が、首の筋肉の力の低下を招き、頭と重力からの圧宿力に対抗して、全体的首引き上げ保持する張力の働きを弱めてしまいます。

その結果、、舌骨周辺の頸部内臓が前に移動して下に下がり、その周囲の筋肉や組織の位置異常が起こり喉周辺に凹凸の形が現れてしまいます。

これが、喉周辺に横輪状にできる上下の３～４本の深い皺の原因です。

また、首の皺の出来る筋膜（頚筋膜浅葉と気管前葉）は、首の後ろで背中の背骨を支える筋肉（背筋）を包んでいる筋膜の後ろから引き下げる力や、手の指先や肩からの首を横から引っ張る筋膜張力バランスにも関係します。

たとえば、首の横にある胸鎖乳突筋を包む筋膜（頚筋膜浅葉）は首の後ろの表層の僧帽筋と繋がりその筋膜はさらに手の甲（手背）や指の爪と繋がります。

その奥にある肩甲骨と首を繋いでいる筋肉（肩甲挙筋）を包む筋膜は肩から伸びてゆき手の小指の先に繋がります。

さらに首を支えるいちばん深いところの首の後ろの筋肉（脊柱起立筋）を包む筋膜は大腿のうしろから足のふくらはぎにつながり、さらに、足底の指先で爪の裏側まで繋がりそこで止まります。

つまり、首のシワと関係する首の後ろの筋膜は、３重に分かれており、手や肩のルートと足のルートの３本が関係している訳です。

手のルートを詳しく話すと、

親指のルートは、肩甲骨を持ち上げて鎖骨の位置を高くしてしまいます。

小指のルートは、肩甲骨を下げてしまい鎖骨の位置を低くしてしまいます。

この各指からの筋膜張力の左右のアンバランスは、首の横と縦の長さや太さを変えてしまいます。

また、首の筋膜は、頸椎椎体の前面（頚長筋・頭長筋）と横の筋肉（前・中・後斜角筋）を包む筋膜（頚筋膜椎前葉）と繋がりその筋膜は内臓に降りて行き、大腿の内股の筋肉（内転筋群）を包み最後足の内くるぶし側から足の裏の中間３本の指先に止まります。

これらの、後ろからの筋膜の張力と動きは前側の喉周辺の筋膜の袋の形を後ろから支えその位置をコントロールしています。

とくに、影響があるのは、アゴの後ろの袋（耳下腺隙）、アゴの角（下顎角）の袋（顎下三角隙）、やアゴの真下の袋（オトガイ下三角隙）、の膨らみに影響します。

再度、繰り返してお話しすると、首の深部で喉や咽頭を包む筋膜は、喉の上から心臓を包む筋膜（心膜）を下垂して、ぶら下げており、さらに横隔膜（中心腱）に繋がります。

つまり、喉周囲の筋膜に胸部の内臓がぶら下がっていることになります。

したがって、嚥下動作や心臓の拍動や呼吸による横隔膜の動きは、首の筋膜の新たな動きや変化を誘発してしまいます。

舌骨や喉ぼとけ（（咽頭隆起）甲状腺や気管の前（気管前葉）の周辺の筋膜凹凸の形は、舌骨と首の後ろの肩の肩甲骨を繋いでいる、肩甲舌骨筋の筋膜の位置や張りが関係しており、さらに首の動脈の鞘（頚動脈鞘）を適度に守り横から首をテントのように張っています。

また首の前に縦にシワが出来るのは

喉の下にある袋（胸骨隙）はあまり張りがなく、シワが出来ると特に窪んで奥に引っ込んでしまいます。

その結果、舌骨と胸骨を繋ぐ胸骨舌骨筋や舌骨と顎を繋ぐオトガイ舌骨筋が舌骨と首の前にハッキリ縦に現れます。

その横には、耳の後ろから胸の中心に降りてきている、胸鎖乳突筋の筋膜（頚筋膜浅葉）がはっきりと浮き出て現れてきます。

最近の研究では、筋膜網は、首全体の形状とを弾力性のある構造でバランスよく支えるために常に独自の張力支持能力を持っており

首の表面の皮膚の下にある浅筋膜の張力に対して、これらの深部筋膜は全体的な首の構造を内側から張力により支え安定化させることによりその構造体の張が力が首のシワの改善に必要であることが最近わかってきています。

この様に考えると、体からの様々なルートからの筋膜の情報伝達が、

実は、首の筋膜の張力に影響を与えている訳で、首の皮膚やその下の表層の筋肉（広頸筋）のストレッチや、皮膚表面でのフェイシャルスキンケア―では殆ど効果は望めない理由がわかってきました。

筋膜の弾力性や張力さらに形状が変わる（首にシワができる）原因として、精神的なストレス、や慢性的な姿勢パターンの改善が必要であることは言うまでもないことです。

従来の研究では筋膜のはたらきは、筋肉の収縮力や動きに対して抑制的に働くと考えられていましたが、

最近になって、筋膜網を作る筋繊維芽細胞は、ある条件のもとでは筋肉のように自ら収縮力を発揮して動き筋膜を収縮することが解ってきました。

この動きによって、筋膜同士が互いに滑り合いそこにある基質に動きや流れが生じます。

この筋膜網運動の中で真皮への血管の通路が確保され、そこにある様々なコロイド状の基質は必要に応じて、イオン化（圧電電荷）して流動的に変化をし代謝活動を行っています。

筋膜網の特徴は、精神的感情障害、呼吸障害、摂取する食品のアンバランスによってｐＨが下がると固くなって弾力性を失ってしまいます。

部分的に硬くなった筋膜は、周辺の筋膜の張りから孤立してしまい、その周辺に凹凸を作ってしまいます。

また、最近の専門の研究では、筋膜の性質から云うと筋肉とは違い効果の即効性はないのですが、いった改善すると長期的に張りと弾力性を持続することが解かっています。

このように考えると、肌質の改善はもとより、シワの消去と肌の弾力性の回復は現実に努力次第で可能なのです。、

このことから云えることは、手や足の筋膜に適切な刺激を与えることは、首の筋膜繊維網の張りが回復できることの期待感をもたらし、今まで諦めていた首のシワも改善できるかもしれません。