2022顔と体美容矯正のコンメンタール(kommentar)
質問者、JUNKOーYさん(東京都渋谷区美容矯正セラピスト)
顔のたるみはバストの位置と関係しますか?
顔のたるみが気になり出したら
バストの位置や形も以前と違うような気がするとお客様から報告がありました。
関係するとしたらどのように関係するのか教えてください。
質問の回答です。
バストの位置や形状については姿勢の変化だけではなく
ホルモンや体型その他の様々な要素が関連しているため必ずしもこれがだめでこれがよいと言うことは断言できません。
ここでは姿勢の変化に関連する位置や形状に限定してお話します。
解剖学的には
女性の乳房は
付け根の部位は鎖骨中線上で第2ー6肋骨にまでわたり、
大胸筋、前鋸筋、外腹斜筋の上に広がります。
前面からでは円錐形で上半分に比べ下半分に丸みをもちます。
さらに乳房は
胸筋筋膜やその周辺の筋膜である腋窩筋膜や浅腹筋膜と疎性結合組織を介して結合しています。
このほか乳房上部には乳腺に入り込む帯状の結合組織である乳房堤靭帯(クーパー靭帯)が乳房を懸垂しています。
ここでバストにとって重要な組織として
鎖骨胸筋筋膜という筋膜を上げる必要があります。
この筋膜は大胸筋とほぼ同じ広さの筋膜ですが鎖骨と腋窩の床を連結する厚い結合組織としてよく知られています。
そして、
大胸筋の下に位置し大胸筋や小胸筋と鎖骨下筋を包み腋窩筋膜の床部位に付着します。
その下を上腕二頭筋短頭や烏口腕筋が潜り抜けるように肩甲骨の烏口突起と上腕骨に付着します。
この筋膜は
そこから、上肢の内側筋間中隔を経由して前腕の屈筋群から手掌全体の筋膜に繋がってゆきます。
つまりバストの床のベースになる筋膜組織は手の掌までのルートやその動きに影響されます。
さらに乳房は大胸筋の上に位置します。
この大胸筋は上部の鎖骨部、中間部の胸肋部、下部の腹部の3部位で構成されています。
そして外側に向かって集結して上腕骨の結節間溝の外側の大結節稜と言う部位に付着します。
従ってバストの位置や形状は上肢や肩関節の動きと密接な関係にあります。
上肢の静止位では
面白いことに
この大胸筋の上腕骨の付着部位では
一番上の鎖骨部位からの筋肉繊維は前面の一番下の部位に付着し
一番下からの腹部から筋肉繊維は胸肋部繊維の後面からこの部位の一番上に付着します。
つまり、
この部位での大胸筋の停止腱は捻じれていることになります。
実は大胸筋の胸肋部を挟んでのこの捻じれによる結合組織の緊張がこの部位の前方への膨らみや弾力性をもたらしていると考えられます。
上肢の外転と挙上位では、
大胸筋は外側と上方に広がりさらにその方向にリフトすることになります。
大胸筋の筋膜はその上の広頚筋の筋膜と連結することになります。
特に顔の口角部位の位置や形状に大きく影響をもたらしています。
したがって
バスト部分の位置や形状も顔の頬周りのたるみやしわと筋膜系で関連することになります。
身体全体の姿勢からの観点からいうと
バストの位置と深く影響するのは膝部位の膝窩筋です。
立位の静止姿勢では
この膝窩筋は大胸筋鎖骨部とバランスをとる筋肉です。
また、
乳房部位の胸肋部位は肩甲骨間にある菱形筋がバランスを取ります。
この菱形筋は筋膜的に肩甲骨の腱板筋から上腕三頭筋と接続し手背伸筋群
に接続します。
このように考えると鎖骨からバストの上方部位の張力バランスは下肢の膝関節の筋膜緊張が重要であることになります。
また、バストの中心部位は手背から上腕三頭筋長頭を経由して鍵板筋から繋がっている菱形筋筋膜の緊張バランスが重要であるといえます。
また、
内臓機能との関係ではバスト上部と関係する
膝窩筋は胆のうと大胸筋鎖骨部は胃の機能と関係し
バスト中心部の胸肋部は肝臓機能と関係します。
バランスをとる背中の菱形筋は胃の機能と関係しています。
バスト下部と関係する大胸筋下部は
腹直筋からの繋がりがあるため小腸の機能と関係することになります。
このように考えると
解剖学的なバストの位置や形状は
単にその部分の問題だけではなく
下肢や上肢の筋膜の緊張バランスや内臓の機能が深く関係していることが分かります。
特に、肩の運動学的観点からでは
肩の関節である上腕と肩甲骨の肩甲上腕関節、鎖骨と肩甲骨の肩鎖関節、胸鎖関節、肩甲骨と胸郭後部の肋骨の肩甲胸郭関節等の前額面の外転・内転、矢状面での屈曲・伸展、水平面での内旋・外旋の動きが鎖骨胸筋筋膜から大胸筋を経由して最終点である乳房の組織に伝わりバスト全体の形状や位置の改善に影響を与えていると考えられます。
左右の肩の高さや幅の違いや鎖骨の高さの違いが顔の左右の違いに影響しているのと同じように左右の肩の高さや幅の違いや鎖骨の高さの違いがバストの左右の違いに影響を与えていると考えられます。
おわり