2021顔と感情に関する美容矯正的究明
質問者:Masako-Tさん(東京都港区:美容矯正セラピスト)
以前、心理学のセミナーに参加した時に感情が内臓と骨格筋に影響することは学んだことがありますが、詳しくはどのように姿勢に関係しているかを具体的に教えてください。
質問の回答です。
怒り・嫌悪・不安・軽蔑・批判・否定的な感情から起こる感情ストレスは特定された顔の表情をつくるだけではなく
内臓の機能低下や筋膜系を経由して緊張度を高め全身の骨格筋に影響を与えています。
今回は、その中の「批判的」な感情に焦点を絞ってお話しします。
一般的に嫌悪・怒りなどが混合して「批判的」な感情を現しますが場合によっては意地悪な顔つきになります。
表向きを取り繕い本心を隠していると、どうしても批判的になりがちになり
底意地の悪いことを考えやすくなります。
このような感情では、額や上・下の眼瞼部は緊張し、口角部位は笑顔のようにリフトさせて本来の否定的な感情を笑顔で隠す傾向にあります。
頬や口元は笑っていても、眉と目元は険しくしかめっ面をしている。
例えば、知り合いに良いことができて喜んでいるフリをしても、内心は悪いことを期待しており
つまり、顔は笑っているようでも目は笑っていない。
ほんとに笑っている時は大頬骨筋と眼輪筋が収縮しますが、
眼輪筋の外側部分は随意的(意志の働きで)に収縮するのは難しいため
偽の笑いや微笑みではこの部分の収縮は出来なく欠けてしまいます。
情緒を司る右脳半球の働きが活性化すると左側の顔面を緊張させるため
特に左側の顔面に強く現れます。
この否定的な感情「批判」と関係している内臓は膵臓と脾臓です。
特に深く関係する骨格筋は広背筋と中部・下部僧帽筋です。
今回は、この批判的感情と脾臓と中部・下部僧帽筋に焦点を絞ってお話しします。
この「批判的」な感情で内臓系を経由して
この筋肉が問題を起こすと
寒気を感じることがあります。
必ずではありませんが
一般的に多いのは
頸椎部の痛みと下部僧帽筋の弛緩と上部僧帽筋の牽引による左の肩の不調です(必ずではありませんが)。
この場合、首と背中の付け根の痛み(右第一肋骨頭痛)
背中の片側への側弯と膨らみを生じますが、両側が弱くなると背中全体の痛みを伴いながら猫背姿勢になる傾向があります。
また、耳鳴りや咽頭炎による嚥下困難、熱っぽい息、呼吸障害、
腋窩の発汗、腹部リンパの異常により腹部組織の腫脹が起こり、
腸の不規則な動きや鼠径部の発汗、そしてL3部分を中心とする腰部牽引痛が起こります。
さらに、両側の大殿筋の緊張低下によるお尻の垂れさがり、下肢の筋痙攣と浮腫による足関節の浮腫、足の発汗、そして、手足の爪が波打ようになります。
また、いつも微熱があるような状態の時は
これも、必ずではありませんが
右肩痛、右胸鎖関節痛、頭蓋骨の右後頭乳突縫合からの右前頭部痛、左第一臼歯の痛み、味覚異常
首の付け根の第一肋骨痛、右肩甲骨下部を中心の痛み、背中の下部の中心部痛(棘突起痛)、乳房の過敏、腹膜の癒着及びリンパの滞留、右第一肋骨痛、左鼠径部下方の腫脹、左下肢前面痛などです。
基本的には腕を挙げたり横に広げる(上腕骨の外転と屈曲)ことが困難です。
もし、両方が悪いと胸椎と腰椎の境界部分が膨らみます。
そして、あまり関係が無いように思われますが、梨状筋関連の坐骨神経痛が起こります。
以上の部分が、「批判的」な感情に伴う脾臓と中部・下部僧帽筋等の筋骨格系の問題があらわれる部分です。
また、 心理学的には
人に嫌な感情を抱くと、真っ先に現われるのは目元のようです。
人は怒ったり、暴言を吐くと自然に眉間にシワが寄ります。
これを頻繁に繰り返していると眉間のシワがより深く縦に刻まれるわけです。
眉間のシワは目つきの悪い表情とも連動するため、意地の悪さが際立ちます。
しかめっ面ばかりしているとその表情が習慣化し、表情筋にも変化をもたらすようです。
また、意地の悪いことばかりに考えを巡らせていると笑顔が減り、人を見下している印象を与えます。
口も性格の悪さが良く現れます。
ネガティブな感情を抱くことが多いと、口角が下がりそれに伴い口がへの字になるようです。
表向きとは別に裏にはネガティブな感情を抱いているかもしれません。
ここで、少し詳しく難しくなりますが
一般的によく知られている解剖学のお話しをします。
怒り・恐怖や不安等の感情的なストレスがあるときは、
大脳の辺縁系(大脳基底核と視床に接する区画の集合体)の一部である「扁桃体」という側頭葉の奥にある神経細胞の集まりの活動が高まります。
そのとなりにある視床下部はマスターグランド(脳下垂体)や自律神経系の働きを支配しています。
そして、感情の快・不快等の発生や伝達をコントロールしており、その状態に応じて多種多様な神経ペプチド(アドレナリン・セロトニン・ドーパミン・エンドルフィン・インスリン・グルタミン等)を放出します。
また、美容矯正セラピストがいつもケアーしている顔の表情筋は、顔面神経核というところから発する顔面神経の支配を受けています。
この脳中枢から顔面神経核への命令の伝達ルートには,
2種類あります。
1つは随意的な性質をもつ錐体路系(意識的に顔面筋をコントロールできる)
2つ目は、不随意の錐体外路系(意思の働きが作用しない)の経路です。
したがって顔の多くの表情は表情筋の緊張だけではなく、
この情報伝達経路のシステムにより、そこから遠く離れた自律神経支配の内臓の筋肉(平滑筋)と姿勢を保持したり関節を動かしたりする骨格筋(横紋筋)の両方に対しても影響することになります。
ここで重要なことは
長期的な感情的ストレスの継続や刺激は
神経系だけではなく、基質の筋膜系を通じて筋や腱の接合部に対して神経疼痛物質(サブスタンスP・カルシトニン遺伝子関連ペプチド等)を放出し、筋膜中のコラーゲン構造を変形させることにより全身に影響し作用することになるということです。
つまり、感情による刺激は骨格筋の筋力低下や痛みの発生の原因となり
そして、最終的に姿勢の変化と歪みの原因となります。
(ただし、皮筋である表情筋(顔面神経支配)や口の中にある咽頭や舌の筋肉は骨格筋(横紋筋)、心臓の心筋部分は自律神経支配ですが骨格筋(横紋筋)です。)
自らの思考や意思で演出する表情は随意的に表出されますが,
予期せぬ突然の外的な出来事に驚いたり,不安や恐怖さらには怒りや悲しんだりするといった真の感情状態の表出は,不随意的(自律神経系)であると考えらています。
つまりは、このようなネガティブな感情や情動は表情筋や自律神経系と強く結びつくと考えられているということです。
いずれにしても、否定的な感情は、内臓の筋肉や全身の骨格筋に神経系を経由して影響を与えることになります。
身体と同じ様に、顔の右側は脳の左半球で,逆に左側の顔は右半球でコントロールされています。
右半球は感情の処理に優れているため,右半球がコントロールする顔の左側で感情が強く表出されます。
このことは、笑い、怒り、嫌悪、悲しみ、驚きなどの様々な感情をこめてスマートフォン等で自撮り写真を撮ったりするとよく分かります。
また、女性が自分を綺麗に見せようとする感情を強く表出するときは
左側の頬を見せるポーズをとることが多いことも分かっています。
それに対して、静かで冷静な表情は比較的右側の顔に現れます。
左脳をよく使う事務職系では感情を隠し右の頬が穏やかに緊張します。
右脳をよく使う営業職や音楽や演劇系や美意識の高い人、競争意識の高い人では感情を大切にするため左頬が強調されます。
しかしながら、現実にはこの両方の表情を混合して生活していることが多いようです。
意地が悪く、友達や周りの人に対して誹謗中傷をしたり
批判的なことを繰り返している人は、
これらの性質を使い左側の目元は緊張させ頬骨を前に突き出して
口元は笑顔を演じて本当の感情を隠しているのかも知れません。
口角をリフトする右側の小頬骨筋・大頬骨筋の付着部である頬骨体下部先端には脾臓や卵巣と関係する神経受容器があり
左側の小頬骨筋・大頬骨筋の付着部と左側の頬骨体下部先端には胆のうや肝臓、腎臓と関係する神経受容器があります。
もし、左右の両側のこの部分に強い痛みがあるようでしたら批判的な感情が強いといえるかも知れません。