2021顔と感情に関する美容矯正的究明
質問者:Misa-Yさん東京都渋谷区在住・(美容矯正セラピスト・鍼灸師)
毎回メッセージを読ませていただいています。
怒り憎しみなどネガティブな感情や体の不調が顔のたるみやシワのできる原因の一つであるとありますが
それでは、反対に顔のたるみやしわができると嫌悪や怒り憎しみなどのネガティブな感情や体調不良を引き起こす原因になるのでしょうか?
最近、先生のところで新しく学んできた「フェミニン」という技術メニューをお客様に受けていただきました。
私自身もそうでしたが、お客様から
「施術を受けてすぐに自分で力を入れていないのに、どんどんお尻に力がはいって上がっていく不思議な感覚に驚いたわー。
こんな効果の出方は今まで感じたことなかった!
すぐに首のシワがどんどん薄くなっていくし、触っても凹凸を感じなくなって喉回りがすごくラクになって本当に不思議。
おまけに翌日は便秘まで解消したよ!
今までちょっと色々あってイライラして気分が落ちてたけど、なんとなく気分的にも明るくなってきている感じがするありがとう!」という報告がありました。
これは、いったいどういうことなのでしょうか?
質問の回答です。
まずは、人の発生学的な視点からお話しします。
発生学では、3週目の終わりごろにヒト胚子はおおよそ鉛筆の先端くらいの大きさです。
そのヒト胚子のうち大きく増殖をするのはその表面の1/4の部分で、そこに、急速に圧縮されて「原始線条」と呼ばれるものができます。
ここが人の形成の始まりの場所です。
一般的には、この部分がヒト胚子の「尾部」となりそこから分裂して骨盤→胸部→頚部→頭部が形成するとされています。(但し、同時に発生するという説やどちらでもないという説もあり)
この「原始線条後尾部」は最終的に後の肛門になる部分です。
ここを起点(肛門部の位置)にして身体の要素が分裂を繰り返し伸びて行き頭と顔の部分が出来ます。
つまり、肛門部位が身体の形成の土台であることがわかります。
そして、肛門の部分の土台を中心軸として身体全身が分裂して増殖するという点からいうと肛門部位は身体の中で「最も古い部位」といえます。
非常に極端な言い方をすると「顔は肛門から出来た部位」と言うことが出来ます。
最初に始まる肛門部分の分裂とともに起こっている筋膜網の張力はその後に形成される顔の筋膜網の張力や弾力性と非常に深い関係があることになります。
発生学的には肛門部分の次にできる部分は口腔部分です。
したがって、顎や喉周りの部位も肛門と同時に身体の中で「最も古い部位」となります。
このヒト胚子の発生学的な分裂の過程における順番と組み合わせが、
何故、骨盤底筋(肛門挙筋群)が顔の形成と筋膜系を経由して関連するかのヒントになるのかもしれません。
4週目の終わりごろには、初期の上肢や下肢、脳、脊髄、そして中枢神経系を保護する脊柱が発達してきます。
それから管状に作られて頭部の端はさらに大きくなります。
頭部の「折り畳み」が続くとさらに小腸や食道が形成されてゆきます。
胎児は満期の子宮内では屈曲状態の姿勢です。
胎児の子宮内での動きや位置は筋膜の緊張を創りだし局所的に筋筋膜の結合組織を肥厚させます。
また、この子宮内での位置や動きが個々人の背骨の湾曲や姿勢に個性的な特徴を作り出します。
したがって、初期の脊柱の特徴はすでに子宮内で決まっていることになります。
また、多くの場合、赤ちゃんの最初の泣き方は、感情的に怒って、最終的に不安がっているようにみえます。
出生時の赤ちゃんがこの時に経験した怒りや不安の感情は
その後の人生において、何処かで何かが起こる度に現れ、幼児から老人になるまで一生涯にわたって続きます。
感情との関係では
女性に多い骨盤底の問題は憎しみの感情の再現を伴うことが多いことが婦人科専門医師達によって報告されていますが、そのメカニズムの詳細については沢山の説があり不明な点が多いようです。
ただし、確かに女性の場合、怒りや憎しみの感情と直接関係する部分は体腔の床にあたる骨盤隔膜と尿生殖隔膜であることが多いようです。
この関係性は生殖部位の機能と役割が関係しており
心理学的には、愛情の表現に関係するこの部位が、生活環境や状況の変化によってはその裏返しの憎しみに変化す構造的な場所であることと関係しているのかもしれません。
いずれにしても、この部分である肛門挙筋の過緊張や緩みは腹腔壁の筋膜を経由して横隔膜の形状(縦に長い円柱形の筒の下が骨盤底で上が横隔膜)や張力と対応しており、さらに胸腔壁、縦隔、肺尖、続いて頸部の斜角筋筋膜の過緊張や緩みを作りだしています。
結果的に、この組織の筋膜系を通じての牽引により顔のたるみやシワの形成に関わることになります。
また、忘れてはいけない重要なことは、
この結合組織は感情の刺激に対しても反応して一生涯伝達ラインとして使用され続けられるということです。
具体的には、何かの出来事でショックや心理的に動揺した時など、また何か困難な状況に直面した場合には、必ずといっていいほど筋膜を経由して、
全身が響き渡るようにその影響を受けてしまいます。
ここで重要な点は「その感情は痛みの感覚につながる」ということです。
例えば、足首を捻挫したりして痛みを感じるとそれと関連している下肢部分をいたわるようにします。
その結果、背中や股関節に代償的な緊張を作りながらその痛みを出来るだけ感じないように私達は感情を身体でコントロールしています。
このような情緒に対する身体的反応は顔や首も含めて体中の柔らかい軟部組織のいたるところで起こります。
骨格筋系筋膜の固有受容器感覚(レセプター)は、その人の身体の状態を感じ取る能力があります。
その中に情緒の要素も混入して身体的な構成要素に関わっていると考えられています
つまり、言い換えれば、怒り、憎しみ等の精神的刺激を筋膜のクモの巣状の網を通じて生理的な感覚として全身で解釈して感じていることになります。
ここで重要点は、この生理的な感覚は情緒、活力、構造的に何か不都合な事が起こると、固有受容感覚は「抑えられてしまう」ということです。
この抑えられてしまった感覚は、他の様式に変化して移行してしまいます。
例えば、首の痛みの原因が明らかに精神的で感情的なものが原因で起こっているにも関わらず、
それを認めたくない頑固な性格の人達がそうです。
その感情と性格が原因で首は頻繁に緊張状態を維持することになり、
最終的に頭痛のような身体的な痛みに変化してしまうことになります。
今後、私達が本当に学ばなければならないのは
どこが「身体的なことが原因の痛み」でどこが「情緒的なことが原因での痛み」なのかを知ることです。
また、例えば、いくら首や肩の施術を繰り返しても頚椎部位が真っ直ぐに伸びなければ、その歪みの本当の理由は、もしかすると、幼少のころの精神的ショックによるものが関係しているかもしれません。
そして、精神的に落ち込んでいると不安から肩を丸めていたり、背中に痛みがあったり、頭痛が起こります。
この場合、身体的な痛みの問題が、情緒的なものが本来の原因であると認識しない限り、それは部分的にそのままの状態で維持されてしまいます。
そして、感情的な要素で影響されている部分は何年にも渡って硬く維持された後で固定されてしまうことになります。
ここで少し詳しくなりますが
骨盤底筋膜の張力について歩行生理学の視点からお話しします。
歩行時に足を上げた側は仙骨底が僅かに前下方側に移動し坐骨結節は前方に移動します。つまり仙骨尖と尾骨は後方に移動します。
それにより骨盤隔膜や仙結節靭帯と仙棘靭帯もそれぞれ前後方向に同時に牽引されるために伸張して緊張します。
その反対側、つまりは仙骨底と坐骨結節は後方で仙骨尖前方に短縮するために骨盤底は短縮して緊張します。
(但し、この張力は実際には他の複雑な部位からの影響を受けることが多く
必ずしもそうなる訳ではありません。)
そのことは、肛門から座骨直腸窩までの部分の緊張力と長さの左右差を引き起こしてしまいます。
また、前方の恥骨結合から尿生殖裂孔部分の形状の左右差を作りだしてしまいます。
分かりやすく言うと仙腸関節耳状面の可動性パターンの乱れは
仙結節靭帯の鎌状部分と仙棘靭帯の張力に変化をもたらします。
それと共に尾骨筋が付着している腸骨尾骨筋縫線の位置に変化が起こります。
そして、そこから恥骨結合までお碗状に左右に広がる全ての骨盤底筋の位置と張力や形状を機能的に確実に変化させます。
結果的に肛門挙筋筋膜群の非対称性の斜め方向の捻転が生じ
会陰腱中心を軸点とした横方向の会陰横筋筋膜の捻転が起こり
最終的に恥骨直腸間では尿生殖裂孔部筋膜に左右差が生じ上下方向への捻転が起こると考えられます。
通常この骨盤底筋群の弾力性は対側に対してもバランスを保っていますが
長期的な精神的なストレスにより影響を受けた時や出産の複数回の経験者は
仙腸関節部分の後仙腸靭帯は弛緩しそれによりに骨盤腔(上口と下口)の安定的なスペースの支持力が低下します。
その時には骨盤底筋膜でもその対側との緊張力との間でアンバランスが確実に起こります。
特に、複数回出産の経験者は仙腸関節耳状面前面の軟骨部分に変形が生じることが多く、
それによる仙腸関節の可動パターンの乱れは仙結節靭帯の鎌状部分と仙棘靭帯の張力に変化をもたらします。
これが、骨盤底の張力に変化をもたらす原因の一つです。
そして感情的ストレスを受けた自律神経は乱れが生じ、それが支配する内尿道括約筋(膀胱頚部)と内肛門括約筋の緊張(この部分は自分の意志の働きでは調整できません)が不安定になったりします。
また、感情的ストレスで筋膜網を通じて影響を受けた随意性の骨格筋である外尿道括約筋と外肛門括約筋の緊張(この部分は自分の意志の働きで調整できます)のアンバランスが生じたりするため骨盤底筋膜の捻れと張力低下の原因になることもあります。
最終的に、その自律神経系と筋骨格系の不安定性の結果引き起こされた捻れは
口腔底から顎舌骨筋や舌骨舌筋を経由して頭部の側頭筋膜から下顎・上顎・眼窩部の顔面筋膜の捻れを作りだしてしまいます。
その場合の顔のたるみやゆがみは骨盤隔膜の緊張や緩みに対する体腔の形状の保持と安定とバランスを保つための代償的作用の結果として起こっていることになります。
発生学的な視点から言うと「肛門部」が人の構造のスタート地点です。
「フェミニンセラピー」が今までにない効果を発揮したのはこのメカニズムに関係していると考えられます。