2020素肌美人への美容矯正改革
質問者:Kesae-Wさん(ニュージーランド・オークランド在住・美容矯正セラピスト)
こんにちは、勝山先生。
最近ZOOM飲み会、会議、レッスンの流れが進んできていますが、飲み会ならまだしも、会議や、レッスンを進めていく側も受ける側も、画面から目が離せない緊張が1~2時間つづいたり、それを毎日こなして行くと日常の疲れとは違う精神的や、頭の重さを覚える人がまわりにいます。坐り方も関係していると思うのですが、体への影響、それを回避していく方法はあるのでしょうか。
質問の回答です。
これは、以前からよくある質問です。
現代のオフィスワークや携帯スマホの利用者のほとんどがこの姿勢の問題に直面しています。
まさに、長期的に持続するこの姿勢は筋骨格系に深刻なダメージを与えます。
これは、筋筋膜の疲労蓄積・浮腫み・関節の可動制限・凝り・痛み等だけではなく、内臓機能の低下・心理的又は情緒や性格の変化、
そして、最終的に顔面のくすみ、たるみ、しわ、肌質の劣化等に確実につながって行きます。
具体的には、椅子などでの着座姿勢でのパソコンやスマホの画面との距離や高低差が関係します。
この姿勢をパーツに分けて調べてみると
座位でディスプレイ画面に対する前かがみの姿勢を取ると、
1,頸椎部の上部は後方に過伸展し下部が前方に屈曲して移動します。
つまり頸椎の上部と下部の間の湾曲が極端になり、それによって頭部が前方に移動します。
これは頭と首の付け根(後頭骨下)の凝りや痛みの最大の原因になります。
また、眼球と後頭部の付け根の深層筋は発生学的に骨が発生した時から同時期に出来ているため
目を動かす眼球運動の変化によって,後頭部の深層の筋肉(後頭下筋)にも運動が伝わるために,首の筋肉の緊張にも変化が生じます。
そして、ここから背部の骨格を支える筋肉にもそれが伝わり、関節の動きや筋肉の緊張の変化につながってゆくことになります。
2,次に、頸部から下方では鎖骨から胸骨と胸郭が床に向かって下方に落ち込みます。
この姿勢状態になると胸郭の上部での呼吸制限が起こりやすくなり、嚥下動作や発声の困難、また肺でのガス交換の制限が生じることで、活力が低下し代謝産物の蓄積による疲労感、抑うつ状態、全身の倦怠感につながってゆくことになります。
さらに、恥骨と胸郭の腹部前面の距離が短くなり腹筋が腹部内臓を後方へ圧迫することになります。
これにより、腹部内臓の機能低下が引き起こされることになります。
3、背中を丸めるため腰椎部は後方に移動して後彎になります。
これは、腰部前面側の大腰筋の不自然な緊張と腰部後面側の脊柱起立筋の伸長緊張による過敏な痛みの原因になります。
4、画面と目線の距離を離しすぎると、今度は体重が坐骨の後側にかかるため骨盤が後方に後退することになります。
これは骨盤の股関節周辺の関節の動きの制限につながってしまいます。
5、顔面の部分では、動眼神経や顔面神経の特定された持続的な緊張により、眼窩部の筋膜が長期的に緊張し、目が疲れやすくなり瞼の周りが血行不良により浮腫んできます。
6、三叉神経により咀嚼筋に持続的な緊張が起こり、アゴ周りが膨らみ、迷走神経により咽頭、喉頭部分の締め付けが起こってしまい、喉回りから下の首前側のたるみの原因になります。
この姿勢で、最もダメージを受けるのは後頭部と頸部の付け根の部分です。
この部分は、目(視覚)や耳(平衡感覚)と連絡を取り身体の動きと接続の役割を演じているところです。
また、この場所は、心理的に続発する多くの感情によって筋筋膜を経由しその感情エネルギーが変化して身体全体の痛みや緊張にスイッチする可変ラインの場所です。
特に、不安・恐怖等の感情によって直接的で壊滅的な打撃を受けてしまう場所でもあります。
顔面の皮膚との関係では
この姿勢は、頭蓋骨が首から前に移動し飛び出してしまいます。
したがって、頭部の重みは首のみで支えることになり「竿で提灯をぶら下げる」のと同じように、顔の柔らかい脂肪や筋肉組織は全て床方面に向かって垂れ下がることになります。
本来、頭部と顔面は筋筋膜の連続により、前頭骨から頸部、背面の背骨や骨盤のルートでクレーンで引き上げられるように張力が伝わりますが、この姿勢では首の付け根の部分でその力が遮断されてしまいます。つまりは、顔は背中から足底までの張力でリフトアップされていることになります。
これが、老化以外で多くの人に最初に生じる浮腫み・たるみの原因であることを強調しておきます。
長時間の座位による前傾不良姿勢に加えて、デスクワーク終了後の歩行時の姿勢のバランスもさらに問題になります。
例えば、多くの女性にみられる、片側の肩にショルダーバッグをかけて歩く姿勢は肩や肩甲骨の挙上と、胸郭を同じ側へ移動させてしまいます。
同時に反対側の腕のみスイングして身体のバランスを取っています。
腕のスイングと同じ側での膝過伸展を伴う足の外反足歩行は、脊柱の側彎と顔の顔面筋膜の非対称な牽引を引き起こしてしまいます。
この状態は、明らかにアンバランスな顔の静止時での非対称表情を形成し大湊てしまい、さらに肌の弾力性をも失ってしまいます。
これらを改善するための基本的な対策として、
まず腰椎を前方させ胸部を持ち上げるために大腰筋の緊張をコントロールしなければなりません。
次に、上部の頸椎の過伸展(後ろに反った頭)を改善するため頭と首の引き上げ(頷き)を起こす筋肉である頭長筋と頚長筋の働き(専門的にはそれ以外の前頭直筋と小外側頭直筋のバランス)を強くすることが必要になります。
これらの頸部の筋肉は片方は頸椎に付着していますが、もう片方は頭蓋骨底部の深部にあるため外からは触れません。
対策として、誰でもできる簡単なエクササイズを紹介します。
このエクササイズを行うにあたって注意することがあります。
それは、必ず骨盤から始め後頭部に両手を置き眼球運動を8方向動かすことが重要です。
※首から始めると背中から骨盤までが完全に伸びません。
1、椅子に座った状態で完全に身体を膝に着くまで曲げます。
2、次に骨盤のみを意識して身体の中立位の位置まで引き上げます。(3回)
3、次に両手の指を後頭部の両側の付け根に強く押すように置きます。
4、アゴを引いてから目を閉じて眼球を8方向に動かします。(両手の指先に眼球を動かした時に僅かに動きを感じるまで動かすと首の緊張を解す効果が期待できます)。
5、次にさらに中立位から骨盤のみを意識して後ろに反らします。(3回)
6、次に両手の指を後頭部の両側の付け根に強く押すように置きます。
7、アゴを引いてから目を閉じて眼球を8方向に動かします。(両手の指先に眼球を動かした時に僅かに動きを感じるまで動かすと効果が期待できます)。
8、次に胸部のみを意識して、1、から身体の中立位まで引き上げます。(3回)
9、次に両手の指を後頭部の両側の付け根に強く押すように置きます。
10、アゴを引いてから目を閉じて眼球を8方向に動かします。(両手の指先に眼球を動かした時に僅かに動きを感じるまで動かすと効果が期待できます)。
11、次にさらに胸部のみを意識して中立位から後ろに反らします。(3回)
12、次に両手の指を後頭部の両側の付け根に強く押すように置きます。
13、次に13アゴを引いてから目を閉じて眼球を8方向に動かします。(両手の指先に眼球を動かした時に僅かに動きを感じれば効果が期待できます)。
14、次に頸部と頭部を1、から中立位まで引き上げます。(3回)
15、次に両手の指を後頭部の両側の付け根に強く押すように置きます。
16、次にアゴを引いてから目を閉じて眼球を8方向に動かします。(両手の指先に眼球を動かした時に僅かに動きを感じれば効果が期待できます)。
17、次に中立位から後ろまで頭部と頸部を反らします(3回)
18、次にアゴを引いてから目を閉じて眼球を8方向に動かします。(両手の指先に眼球を動かした時に僅かに動きを感じれば効果が期待できます)。
19、次に左側を目で見上げる時に、右足に体重をかけるとともに骨盤を前方に動かして右足に体重をかけるとともに足を外反させる。(3回)
20、左側を目で見下ろす時は骨盤を後退させながら左側の足に体重をかけ足を内反させる。(3回)
右側でも同じことを行う。
これ以外にも、エクササイズは既存の運動法がマスコミ等で紹介されて出回っているのでそれを行うことで良いと思います。
但し、長期的に色々な症状を抱えている場合は、まずは専門医師による診断が必要です。場合によっては、病気が進行していることがあるためです。
また、全身に渡る苦痛を伴う過度な動きを長時間行うエクササイズは逆効果になります。
この姿勢に関する部分的に限定した短時間の無理のないエクササイズを長期間行うことが大切になります。