2017美容矯正の真理
質問者1:Emiko-Sさん(東京都)美容矯正セラピスト)
NMTオイルセラピーの授業で筋膜には浅層と深層があり浅層よりリリースしてゆくと学びましたが筋膜の固着を剥がす時には強い力は必要ないですか?
質問の回答です。
ほとんどの場合、強い力は必要ありません。
上肢の肩関節や下肢の足等の適切な回旋を使い関連する筋膜をスライドすることで十分です。
一般的に表層と深層の筋膜の癒着を剥がすために強い力を加えることは、毛細血管の断裂や損傷、神経組織の炎症を招く原因となります。
私たちが日常の自然な体の動きを行うためには、その動きに使われる関節や筋肉がその動きとは違う動きをする他の筋肉との間でスムーズに滑ることが必要になります。
そのためには 表層と深層の間にあってそれを繋いでいる結合組織の筋膜の適度な弾力性が必要になります。
その部分が固く塊っていると表層の筋肉と深層の筋肉は別々に滑ることができず体を動かす時に一塊になって動くことになります。
そのことが原因で、動きに必要な筋肉以外の筋肉も一緒に引き伸ばされたり短縮したりすることになり、その周辺に牽引性の緊張や浮腫みや痛みが起こります。
それは、最終的に背骨の側弯や歪みの原因となり不良姿勢の原因にもなります。
私たちは、解剖学で学んだ筋肉を個々に単独で使うことはほとんどなく、その筋肉同士の組み合わせで動いた静止したりしています。
その時にその組み合わせをシステム化して動きを伝える役割をするのが結合組織の筋膜です。
表層の筋肉を包んでいる筋膜と深層の筋膜が硬く固まっていると姿勢に様々な影響が出てきます。
例えば、腕を動かすと背中の中心が痛んだり首の付け根が痛んだりします。
また、立位での姿勢で過度な張りやたるみのある所には、必ずある種の表層と深層の組織の不均衡があります。
下肢の例をとると脚全体は細いのにふくらはぎだけが大きい人等もその例です。
一般的に、これらの固着した部分は腕や足の動きの偏った使い方や未使用が原因しているために起こっています。
したがって、ただ単にその筋膜の各層を一緒に外部から個々に押圧や力で分離して引き離すことはあまり意味がなく、引き離すことはほとんど不可能です。
その様な力が強く加えられると、筋膜網に支えられているその部位の血管や神経の組織の損傷や断裂を引き起こしてしまいます。
そしてさらに強い刺激をその部分に継続的に与えると筋線維芽細胞はその部分にコラーゲンを吐き出してしまい、益々その部分を固くして肥厚させてしまいます。
また、凝り固まっている筋肉を一時的にほぐしても、それを包んだり他の部分を繋いでいる筋膜性の結合組織の解放ができていなければ、また直ぐに元の状態に戻ってしまいます。
身体の筋膜の結合組織の話を少し詳しく話します。
背骨の深層の筋肉を包んでいる筋膜(腰背筋膜)は足の浅層の筋膜から頭蓋骨の後頭部の筋膜までつながっていて、静止している姿勢では背骨を垂直方向に牽引支持します。
したがって足の位置や動きは頭の位置やバランスに大きく影響します。
しかしながら、その上に被っている広背筋は、腕から背中を経由して骨盤に付着しており背骨を横方向や斜め方向などの違った方向に牽引します。
さらに背部の広背筋の上に被さって重なる部分の下部僧帽筋の影響で肩甲骨や後頭部の張力の影響でまた違った方向に背中を牽引します。
この様に考えると、足の動きと手や肩の動きと関係している筋膜が2重3重に背中で
重なるために背骨には複雑な力がかかってしまいます。
これらの影響で、背骨は歪み最終的に偏った側弯などの固定された姿勢になってしまいます。
つまり、背骨の歪みは、多くの場合、そこに本当の原因があるのではなく足や肩や手の動きや硬さによるものと考えられます。
この点を考えると、背中の部分のみのセラピーは持続的な効果は望めず一時的なものになると言えます。
表層の筋肉は比較的大きな筋肉が体の広範囲に付着してます。
そのため、一ヶ所で起こった動きや固着はそこから遠く離れた部分の動きや変形に大きく影響してしまいます。
先ほど、お話しした背中の僧帽筋や広背筋等の表層の大きな筋肉は頭から骨盤や肩から上肢までの動きや歪みに影響します。
これらの筋肉が、二重に重なる部分やその下にある深層の筋肉との間で固着があると腕を動かしたり頭や背中を動かしたりする度にその場所から離れた部分を不自然に刺激することになります。
深層の筋肉は比較的小さい筋肉が関節や骨を細かく動かすために存在しています。
この部分がスムーズに動くためには、まずは表層の大きな筋肉を包んで繋いでいる部分の関節の回旋機能を応用した適切な筋膜の結合組織を解放する技術を施すことが必要になります。
つまり浅層と深層を滑らせることができる技術は硬い部分をほぐしたり、引き離すことではありません。
良好なプロポーションの人は、表層の筋膜と深層の筋膜に弾力性がありスムーズに滑ることで足から顔までの体の動きの振動がバランスよく伝わります。
これは、顔の顔面筋膜の弾力性の良しあしに関係します。
先ほどの繰り返しになりますが、もし両足と両手の組織が固くなって弾力性がなくなったりすると、最終的に背骨の歪みや顔の歪みに繋がってしまいます。
例えば、足の過剰な内反や外反の緊張と同時に膝が屈曲していると骨盤のハムストリング筋の緊張を伴い骨盤の後傾が起こります。
それは同じ側の脊柱起立筋の緊張を伴いますが広背筋と僧帽筋が重なる背中の部分が緊張して僧帽筋が強い場合には同じ側への頭の傾きの原因になり、眼窩筋膜の拡大と法令線部分の頬骨と上アゴの顔面筋膜の部分を牽引してしまい口角と上唇の垂れ下がる原因となります。
これらの歪みは、ほとんどの場合に表層の筋膜と深層の筋膜の部分的な緊張と張りが原因しており遠く離れた部分にそのしわ寄せが起こってしまうことになります。
おわり