2014美容矯正の散歩道Q&A
Miyuki―Iさん、フランス・パリ在住、34歳(2006年受講生、フランスオステオパシ―カレッジ留学生)
勝山先生
ご無沙汰しております。
兼ねてから先生に、いろいろとアドバイス頂きましたおかげで
卒業 論文は2ヶ月程前に書き終えて、数週間前に審査で承認された
通知を受け取りました。
大変お世話にありがとうございます。
内容は、日本の美容矯正についてとシンメトリー整顔の施術の例の分析をしました。30代の日本人女性4人とフランス人女性1人の合計5人に一週間間隔で3回の施術を行いました。
臨床データーは写真とアンケートによる分析が中心です。
顔だけの施術は結果に限界もありましたが、逆に顔だけの施術で
出せる結果には満足できるものでした。
そこで、質問があります。
8月の質問コーナーで先生が回答されていた施術時間についてです。
オステオパシーの治療では、痛みの患者さんであればあるほど 施術の情報を受けるキャパシティが低いので、短時間で的確な技術を行うことが効果的という考え方があります。
美容矯正に関して、健康な方を施術する場合の適切な施術時間は 1時間以内なのでしょうか?
一回の施術でシンメトリー整顔とクラニオフットオパシーを組み合わせると90分かかりますが、単独で施術するより効果が半減 してしまうのでしょうか。
患者さんの年齢や歪みの度合いによって 個人差はあると思いますが、アドバイス頂けると幸いです。
どうぞ宜しくお願い致します。
質問の回答です
メールありがとうございます。
返信がおくれて申し訳ありません。
まずは、卒業論文が通ってよかったですね。
おめでとうございます。
さて、質問の回答をします。
施術時間は短い方がよいに決まっています。が、その時間は体の各部位の状態によって違ってきます。
基本的には部分のケアーとシステムメカニズムのケアーに分けて行う必要がありますが多くの場合部分ケアーに時間を取るケースが多くみられます。
オステオパシーでいうシステムケアー(例えば第一次呼吸システムの改善)などは日 本の手技療法家には無視されがちの傾向があります。
どうしても、部分ケアー中心のリラクゼーションケアーになっているようです。
ご質問のシンメトリー整顔とクラフの組み合わせの時間については個々のパーツの改善を連結するための時間として90分の時間がかかるようです。
クラフは体重が最もかかる部位の為複雑な足根関節の歪みが長期的に持続継続するところです。
この部位の筋膜の張力は全て頭蓋に反射します。
そのため長時間の施術になることはやむを得ません。
しかしながら炎症性の部位が有る場合は当然ですが、頭蓋の為の遠隔操作でのケアーを中心に行う操作は時間がかかっても最も安全で必要な操作となります。
大切なことは、施術者がクライアントの改善の期間と計画を事前にクライアントによく理解させることが大事なことであり、たとえ短時間の操作が良いと言っても、多くのクラニオ・セイクラルの施術者たちのように2年も3年も同じことを 繰り返しているようでは脳がないと言われてもしかたがありません。
更に大切なことは適切な改善のために一回の時間を気にすることより、どのくらいの短い回数で目的を達成できるかが問題になります。
以上です
また日本に帰国した際にはお会いいたしましょう
それではお元気で
勝山浩尉智
Mieko-Oさん、港区赤坂在住39歳(ディプレオパシープロフェッサー・鍼灸師・鍼灸学校教員養成科教員)
質問です。
美容矯正と言うと、強い刺激や痛みを我慢して受けている方が多いですが、脳に影響はないのでしょうか?
勝山先生の美容矯正は痛みが全く無いのになぜ効くのですか?
質問回答です
具体的なことを知らないので何とも言えませんが、頭蓋オステオパシー医学の理論から一般的に言うと、強い刺激や痛みを頭蓋骨に与えるのは意識又は無意識的にその部位に防御反応を引き起こします。
あくまでも一般論になりますが、頭蓋骨は軟部組織縫合により接続しており,その複合体の構造は内圧の変化を受けて,各骨の小さなぎこちない動きを有しているとされています。
この考えの根拠は、多くの縫合面の形状は様々ですが平面から見ると各骨の中に入り込んでいる為、構造上、動くのが無理で不動のようにみえます。
しかしながら、側面から見ると頭蓋冠は大・小様々な斜端構造(内側斜端・外側斜端)になっており、この斜端構造部分での斜めの滑りは可能であるとしています。
頭蓋骨は動くと主張している頭蓋オステオパシーの構造的根拠はここにあります。別の言い方をすると頭蓋骨の膨張と収縮になります。
しかしながら、死体や筋骨格系からの歪みや過度な緊張刺激は、頭蓋縫合全体を閉塞の状態にもたらします。
最近の最も信頼できる頭蓋オステオパシー理論では、縫合内の細網結合組織の縫合靭帯の部位で若干の動きを許容することが説明されており、その部位には明らかに血管と神経線維や固有受容器が存在しています。
したがって、縫合は伸張反射を有しており頭蓋内圧の変動に応じて、伸張反射が活性化されたり低下したりして、脳室内で生成される脳脊髄液の分泌や液圧を調整しているといわれています。
少し具体的にいうと、頭蓋内圧が上昇しその圧によって縫合がある幅まで広げられると縫合内の伸張反射が活性化され脳脊髄液の生成を止めるように脳室に伝達することになり、
頭蓋内圧が減少し始めると縫合の伸張が和らぎくっ付き始まり、脳脊髄液の生成を再開するように脳にメッセージが送られるといわれています。
たとえば、縫合と脳室との通信ルートは矢状縫合の例では神経軸索―髄膜―脳室壁面となっています。
そこで、ご質問のように強い力を頭蓋冠に与えるのは、この頭蓋縫合の血管や神経受容器を過度に刺激する恐れがあります。
少し具体的にお話しすると、冠状縫合部分には冠状縫合から起こる特殊な神経終末が存在していて、東洋医学で云う経絡を通じて体の特定の機能の情報を中継して脳へ送る役割をしています。
矢状縫合や他の縫合部分にも同じような働きと役割があります。
したがって、この部位への過度な刺激は、大なり小なり血管圧迫や脳と縫合部分の神経伝達に影響をあたえることは間違いありません。
私の矯正は全く無いのになぜ効くかについては、基本的に頭蓋はソフトな、しかも微小な力でしか反応しないというのが西洋のオステオパシーや私の持論です。
そして、基本的にはその反応した頭蓋の動きを施術によって正しい方向に誘導しているだけです。
その目的は、呼吸作用を連動させることによって脳脊髄液のイオン化を増大させ、脳脊髄液の流体波動や電磁気パワーにより体の組織の修復と維持をコントロールすることです。
ただし、頭蓋骨の縫合は筋骨格からの筋膜刺激により高齢になればなるほど硬直してきます。
したがって、頭蓋骨の本来の微小な動きの回復操作を行う以前に影響のある内臓や筋骨格系の施術が必要になると思われます。
また、一部の人々が提唱している完全な左右対称の顔面になることは発生学・解剖学上から云うと不可能です。
むしろそれに近づける矯正と言った方が正しいと思われます。
美容面での効果について言うと、これらの縫合面での膠質繊維(シャペーイ)を介しての神経受容器を経由して頭皮・顔面・頸部の筋筋膜の組織から皮膚組織に存在している多くの表皮内神経固有受容器の働きを改善することやリンパ流に混合されている脳脊髄液の活性化により表皮に起こる美容トラブルを解消することが出来るからであると考えています。
ただし一般的に知られているその他の美容皮膚科学で言われていることも当然のことながら真実です。
脳脊髄液の美容にもたらす影響の研究については、この分野の専門家がほとんどいないため解明されていません。
ただし、間違いなく、ソフトな施術による美容への効果はクライアントさんの恐怖感を開放して安心感を与えることになり施術を受け入れてもらう心理的状態を獲得できるといえます。
そして、この状態での施術が最大の効果を発揮する環境であるといえます。
T-Hさん、愛知県名古屋市在住40歳(2013年受講生、鍼灸師・柔整師・指圧師)
勝山先生へ
質問です
骨格矯正で美容に効くと言いますが、骨格矯正がなぜ美容に良いのですか?
テレビでよく美容矯正や小顔矯正でものすごく強く押したりしていて見るからに痛そうなのですが、あんなに強い刺激で危険はないのでしょうか?
質問の回答です。
骨格矯正がなぜ美容に良いかというと、頭蓋骨と足までのトータル的な筋膜の連続性に関係しているからです。
足底・側背・側面から上る筋膜は全て頭蓋までそのルートで起こる伸張力が伝達されます。
また、体の何処かで異常があるとその力学的張力が、最終的に頭と足まで伝達されます。
足と頭は人間の両端であるため両方に姿勢や運動の同じ量の力が作用・反作用でかかっています。
もちろんその中間なる体幹も関係します。
ただし、体幹部分や各部分だけのパーツの矯正だけでを繰り返しているのでは持続性のある効果は期待できません。
また、このルートとは別にオステオパシーでは頭蓋仙骨力学という考え方が一般的にあり
肺呼吸とは別に独自の頭蓋呼吸運動メカニズムが存在しています。
したがって、この両面からの影響が下顎から顔面に齎せられる訳になります。
ただし、筋骨格の矯正のみだけでは美容効果を生み出すのはかなり難しく限界があります。
多くの場合、精神的な情動問題や内臓の機能やホルモンバランスが直接関係してくるからです。
強い力での施術については上記の質問者と同じ回答です。
Juri-Tさん、目黒区在住27歳(2013受講生、鍼灸師・柔整師)
質問です
美容矯正(クラニアル)を毎日やって欲しいという方がいらっしゃるのですが
同じ手技では刺激がありすぎな気もするのですが毎日って永久ではないと思いますが、どう対処したらいいでしょうか??
的な感じでお願いいたします。
質問の回答です
一般的にいうと頭蓋骨矯正は他の骨格の状態に応じて行うべきです。
したがって、毎日の施術は行わない方がよいと考えます。
その理由は、縫合部のストレスは各骨格部からの反射的ストレスによっておこっているからです。
たとえば、下顎骨の頤・下顎角・顎関節からの頭蓋冠へのストレスは、すべての腰椎や仙腸関節からの反射によって助長されています。
そして、さらに側頭骨乳様突起から中鱗縫合にかけては四肢の関節からの情報を受ける固有受容器が存在しており各関節の機能異常はその部位のストレスとなっています。
但し縫合矯正とは別に表情筋や皮膚にアプローチするのであればその限りではありません。
いずれにしても、筋筋膜系や頭蓋仙骨力学メカニズムの変調だったり、筋骨格系の何処かに機能的に問題が有ることが原因となっているはずですから、その回復が齎されるまで継続した方がよいと考えます。
Makiko-Hさん 中央区銀座在住(エステティシャン)
質問です。
細長い顔を太くするということが出来るという話を聞いたことがありますが、そんなことが本当に出来るのでしょうか?
質問の回答です。
細い顔を太くするというのには限界があります。
構造的に細いのを太くするのは無理があります。
但し、頭蓋オステオパシーの理論では、頭蓋骨は吸気で膨張し呼気で収縮する性質があります。
この観点から言うと、頭蓋骨の呼気状態での停止は顔が細長い状態になると言えます。
呼気不全のクライアントさんの多くは鬱的であったり神経症を抱えているケースが多くみられます。
そのような方々の顔を観察すると確かに細長い方が多いようです。
しかし、これはあくまでその様な印象が有るという微小な変化であり顔幅が数センチも細くなるという訳ではありません。
頭蓋の施術で太くなるというよりは、むしろ顔面の筋肉や脂肪を包む筋膜隙状態が栄養摂取により太くなると言った方が現実的な説得力のある考え方になると思います。