2021顔と感情に関する美容矯正的究明
質問者:Misako-Aさん(東京都渋谷区、美容矯正セラピスト)
ネガティブな顔の表情と感情が具体的に体にどのように影響を与えるのかよく分からないので少し詳しく教えてください。
よろしくお願いいたします。
質問の回答です。
今回はネガティブの感情の中で「怒り」の感情について焦点を絞ってお話しします。
一般的に大人は怒りの感情をいかに上手にコントロールできるかでその人の人柄がわかるとされています。
なかなか怒らない人、怒りっぽい人、癇癪持ちの人、短気な人、冷静な人等がそれです。
また、社会の中で上手く生きるために自分を抑制してそのように演じている人も沢山おります。
しかしながら、自分が感じている本当の感情をただ単に押し殺し抑制するだけではその刺激は自分自身の体内に向けられ蓄積されてしまい、さらに代謝産物が毒素化して内臓の機能低下や病気の原因になってしまいます。
そして神経反射のメカニズムにより筋筋膜ルートを経由して全身の骨格系に伝達され、それに応じた特徴的な姿勢パターンが現れてきます。
一般的に子供は、誰に対しも怒りはできるだけ現さないように育てられています。
その意味でネガティブな感情を体内に蓄積しやすい傾向にあるといえます。
一般的には、怒るとその後に悲しさや恥ずかしさを感じ自己嫌悪に落ちいることが多いようです。
実は、怒りの感情の後から起こるこの自己嫌悪や罪悪感が身体の構造に最も問題を引きおこす感情です。
したがって、徒手療法に携わるセラピストは怒りなどへのネガティブな感情への変化は、その人の姿勢や体型のパターンに大きく影響を与えることを知る必要があります。
怒りの感情は多くの場合、自律神経系を介して内臓の働きと身体全体の筋骨格系の緊張バランスに変化をもたらします。
身体の構造面で言うと
怪我や成長時で起こった器質的なものは別として、
長期間に渡って続く腰痛や側彎症は、ほとんどの原因が精神的なストレスやトラウマによるものです。
例えば、
怒りや悩み、悲しみ、の感情が表情筋を緊張させるだけではなく、消化器系や免疫系の機能を低下させ、その異常な刺激が神経回路を経由して痛みとなって骨格系の腰痛や肩のこりや痛みになって現れます。
またこの背面の痛みが軽減されると、その効果は顔には活力が現れて元気な表情になります。
今回は、この感情の中で怒りの表情と身体の関係についてお話しします。
人が怒っている時は、顔の3領域にそれぞれ変化が現れます。
1,まず眉が下がり、そして引き寄せられます。
2,瞼は緊張して目は食い入るような形で凝視するようになります。
3,唇は硬く閉じて押し付けられているか、開けて四角形で離れているかのどちらかです。
この中で、怒りと恐怖の眉は共に、眉の内側の角の部分が引き寄せられますが
怒りの眉では下がり、恐怖の眉では持ち上げられます。
怒りの場合、実際には、眉が下方に傾斜しているように見えます。
怒りにより眉の内側を引き寄せると普通は眉の間に縦の隆起した皺ができます。
額に横皺は現れません。
横に現れる場合はそれは老化によるものです。
ここで重要な点は、この怒り感情により起こる眉間の顔面筋膜の緊張は一瞬の間であっても、筋筋膜ルートに沿って頭頂骨の帽状腱膜から背面に伝達され、最終的に膝関節や足の足底足指まで伝達されるということです。
怒りの感情刺激により、背面の頸、背中、腰、骨盤までのどこかに過緊張が発生すると、その影響は交感神経系を刺激して内臓の働きに影響を与えます。
怒りの感情が発生している時の姿勢や強度により、緊張や痛みには違いがありますが、
椅子等に座っている時は頸から骨盤までのどこかに、
立っている状態ではさらに膝、ふくらはぎ、足の指先までのどこかに過緊張と痛みが発生すると考えられます。
怒りにより下方に引き寄せられた眉は、通常、怒りを示す眼と、怒りを示す口を伴います。
そして強度の怒りでは、瞼は緊張し、眼はじっと刺し貫くような厳しい眼つきになります。
怒りによるこの部分の過緊張は、一般的に、あまり知られていませんが眼窩部から側頭部や後頭部の横に走る頭蓋骨横軸筋膜ストラップを緊張させます。
その結果、眼窩からこめかみや側頭部分の筋等の締め付けが起こり、頭痛や顎関節の不安定な動きや咀嚼運動の機能を妨げることにつながってしまいます。
この側頭部分の緊張は、筋膜ルートを経由して肩甲骨や股関節、膝関節・足首の関節の位置や機能を低下させることになります。
ただし、怒りが軽度な場合は、眼を多少細めたり、太くしたり、下瞼が緊張して持ち上がることもあります。
怒りの状態が、はっきりと分かり現れるのは口元です。
怒りを示す口元は、主に上唇と下唇が閉じて唇を膨らませている時と開けている時の2種類があります。
さらに、上・下の唇を押し付けた口は、2種類の全く異なる怒りで起こります。
一つ目は他人に暴力行為を行ったり攻撃を開始する時に起こります。
二つ目は怒りの叫びを抑えようとしたり、
何か敵意に満ちたことを叫んだり言ったりしないように、唇を互いに押し付けている時に起こります。
ここで怒りと関係して緊張する解剖学的な部分について少しお話しします。
怒りでは、口を閉じて頬を膨らましている時は側頭筋や咬筋等の咀嚼筋が緊張しています。
さらに舌骨の上筋群が緊張しています。
そして下顎に対して舌骨が持ち上げられます。
具体的には、
顎二腹筋、顎舌骨筋、茎突舌骨筋、オトガイ舌骨筋等の緊張が起こります。
口を開いた形の怒りは、口論等の時に現れます。
スピーチの最中に起こり、その時は叫んだり、怒りを言葉で現しているので分かりやすいはずです。
口を開いた時の怒りは
舌骨上筋群と共に舌骨下筋群も一緒に緊張します。
具体的には、胸骨舌骨筋、胸骨甲状筋、甲状舌骨筋、肩甲舌骨筋等の緊張です。
怒りでのこれらの筋肉の緊張は、舌骨と咽頭、喉頭の動きや働きに深く関わっており、呼吸、発声、嚥下等のバランスが崩れる原因と考えられます。
そして、怒りの感情の刺激はこの咽頭や喉頭の部分に関係する神経や内臓への筋膜ルートの緊張を引き起こします。
具体的には吸気の補助筋である斜角筋から肺尖につながり横隔膜や胸部内臓・腹部内臓・骨盤内臓を下降してさらに骨盤底から内転筋群、深部下腿筋から足趾の屈筋群まその刺激を伝達することになります。
怒りは顔の3領域の部分が深く関わっていますが、声の調子、身体の姿勢、手の動き等で人は怒りを抑制するときに顔の一部や他の領域で現している時もあります。
例えば、上唇が少し緊張し唇の端も少し緊張し、下唇が突き出て鼻孔がわずかに広がるだけでも分かります。
怒りの表情の強さは
瞼がどのくらい緊張しているか、
あるいは眼がどの程度突出しているか、
また唇がどれだけ固く結ばれているか、
さらに、激しい怒りでは、
下唇の下に膨らみができ、
顎に皺ができるほど唇がしっかりとプレスしていることが多いのですが
同様に開いた口がどのくらい大きく開いているかも怒りの強度に関係することになります。
いずれにしても、
怒りは血圧が高くなり、
顔が赤らみ、
額と首の静脈がいっそう浮き出て、
息づかいが変わり、
身体中が一段と直立し、
全身の筋筋膜が緊張して、自分を怒らせた人の方に身体が少し傾く姿勢を取ります。
怒りによる、頸部の前面の喉回りの緊張は頸部と同じ二次湾曲の腰部の過剰な湾曲や痛みの原因となります。
怒りを身体の外に表現できずに自制している人は、その刺激は自分自身に向けられるため
身体全体の構造や機能の自己犠牲を引き起こし、様々な身体的な歪みや疾病を引き起こし、それを現す姿勢で過ごすことになります。
最近、目立ちますが、怒りの経験を快感に感じる人がいます。
とくに、一部の政治家や評論家、マスコミのコメンテーター等がそうです。
彼らは議論好きで、敵意に満ちた言葉の応酬と言葉による攻撃を、その都度、場面が変わる度に繰り返しています。
彼らにとって、自らの持論の正当性を展開するための相手への批判は、刺激的であるばかりではなく満足感の源泉でもあります。
しかしながら、そのエネルギーは、自分自身にも向けられてゆくため、自らの感情で自らの内臓機能を低下させ、自らの感情で自ら不良姿勢を形成することになります。、
そして、その感情が充満している構造体の人として生活するようになってしまいます。