9月の美容矯正メッセージ

2019美容矯正の解釈学

質問者:Yuasa-Yさん神奈川県横浜市(ボデイーセラピスト)

 

サロンに通っているディスクワークの40代の女性についての質問です。

 

7・8年前、事故で首を怪我(左側)をしてから

リンパケアーや骨盤調整をしてもその時は良くなるのですが

時間が経つとまた左肩甲骨が繰り返し辛くなるとのこと。

週1回ピラティスを2年ほど続けながらサロンにも定期的に通っていますが

左側の首を怪我したことと関係があるのか、通うペースが少ないのか、骨盤調整やリンパの仕方が合ってないのか、ディスクワーク、ピラティスが関係しているのか、どのような見方をして、判断していいのか、分からなくなってしまいました。

 

質問の回答です。

具体的な内容が分からないので、推測での話しになりますが、交通事故による、打撲が、関係しているのは確かのように思えます。

しかし、長期的な時間の経過している場合には、他の要素が多岐に渡って複合しているかもしれません。

今,行っているそれぞれのケアーは、たとえ、短期的限定的な効果であっても、良い結果が現れているのであれば、それは継続しても大丈夫と思います。

ただし、結論から言うと、基本的に肩甲骨の関係している症状は、首、肩、肘、手のひら、腰、までのラインを考察しないと一時的な効果しかし望めません。

もちろん、骨盤調整やリンパ液の循環促進も大切なことは言うまでもありませんが。

ただし、それに付け加えて言うならば、それらを繋いでいる結合組織の全体的なメカニズムからでは肩甲骨の状態はどうなっているか?の見方も必要と思われます。

むち打ちや打撲を、経験している場合、背中の胸郭とその周辺の肩甲骨や上肢を支える部分の力が弱くなります。 結果的に部分的に緊張している部分と伸びている部分ができてしまい、そこに凝りや痛みが起こってしまいます。

また、内臓が弱っている場合にも筋肉に問題が起こります。

左側の肩甲骨周辺の場合、甲状腺、胃、心臓等が弱っているかも知れません。

この場合は、内臓機能低下からの反射なので、専門医師に適切な治療をお願いする必要があり、一般的な手技のみでは根本的な解決にはなりません。

本来、肩甲骨は上肢のスムーズな動きをするために、背中の肋骨の上で、ある程度の範囲で自由に動かなければなりません。

しかしながら、肩甲骨の動きが少なく制限されている場合は、肩甲骨自体を包んでいる筋膜とその上・下の筋膜層が固着している場合が多いようです。

理想的には表層の僧帽筋とその下にある中間層の菱形筋、肩甲挙筋、棘上筋、棘下筋とその外側で深層にある小円筋、大円筋等を包んでいる筋膜が、ある程度弾力的に別々に動くべきです。

そうでないと腕や肩、首、頭の動きをスムーズに出来なくなります。

また、その下にある、姿勢を保持する脊柱起立筋群(11種類)を包んでいる深層の部分との間も同じように弾力性がなければなりません。

そうでないと、骨盤や股関節から膝や足の動きがスムーズに出来ません。

この3層の筋膜の間に、ある程度お互いに滑るための弾力性がある場合は、問題はありませんが、一塊になると肩や上肢を動かそうとすると、それらが一緒に動いてしまいます。

実はこれが問題なのです。

肩甲骨周辺の痛みや張りや塊は、ほとんどこの状態によるものから起こります。

そしてさらに重要なことは、肩の関節から上肢の指先までの筋肉や関節とそれを包んでいる筋膜網もこれに関連しているということです。

したがって、本来の肩甲骨のケアーは上肢までの連続した技術か必要となってくる訳です。

また、身体全体の姿勢保持の視点から言うと、あまりよく知られていませんが、上腕が関係する身体の前後の筋膜支持メカニズムも重要な要素になります。

具体的には、前面の浅層では腹直筋と大胸筋です。

これらを接続する筋膜は骨盤の前面(恥骨部)と胸郭(胸骨)や上腕(結節間溝)までをY字形に接続します。つまり骨盤の前面と上腕は接続することになります。

これに対して、背面では、大胸筋が付着している上腕部分(結節間溝)のすぐ後ろに付着する広背筋は肩甲骨の外側を通過して背部から骨盤の仙骨部までをV字形に接続しています。つまり骨盤の後面と上腕は接続することになります。

結合組織解剖学的には、身体の中心(体幹)は上腕の共通部分に付着する大胸筋と広背筋を通して身体の前面のY字形を後方の背面のV字形の張力メカニズムでも支えられてていることになります。

その点から言うと、上肢の上腕は単に腕を動かすだけではなく、身体の姿勢バランスの改善とそれを維持する上で重要な部分であると言えます。

このY字形とバランスを取る背面のV字形の背部部分にある、広背筋の上には僧帽筋の下部が重なります(T6~T12)。この2種類の筋肉が重なっている部分も多くの凝りや痛みが起こるところとして良く知られいます。

僧帽筋は後頭部、頸部、肩、背中に広く張り巡らされていますが、一方で広背筋は上肢(上腕骨の結節間溝)から後ろに移動して背中や骨盤(仙骨)まで繋いでいます。

背中のこの2重に重なる部分に凝りや塊があると、この関連により体を動かす時にその影響はその部分だけにとどまらず、上肢や首や頭や骨盤までに、不自然な動きが起こり様々な悪影響を及ぼします。

また、その影響は身体の前面にまで及び腹部のみぞおち部分から上の胸骨やその肋骨周辺に緊張を作ってしまいます。

特に、大胸筋と腹直筋の筋膜を接続している部分の第5肋骨とその周辺に緊張が起こってしまいます。

また、女性の場合、あまり問題視されていませんが、肩甲骨の動きを制限してしまう部分としてブラジャーのワイヤーの密着する部分があります。

長期的なこの部分に対する過度の密着圧の刺激により、筋膜網中にコラーゲンが増殖し、これにより胸郭の部分的な締め付けが起こり、横隔膜の活動や胸郭の動きの低下や呼吸制限を引き起こす可能性があります。

さらに背面では、その延長線上の横方向の締め付けは肩甲骨下角の動きの制限を引き起こすことになり、上肢を動かしたりする時に肩甲骨全体の自由な動き(回旋)が制限されてしまいます。

そして、長期的にはその部分の痛みや凝りの原因になってしまいます。

このことは、結果的に肩甲骨の上・中・下のそれぞれの筋膜の自由な動きを制限してしまい、その代償作用として、そこから離れた部分の首や肩、腕、腰部の過度の緊張を生み出してしまいます。

肩甲骨の痛みの原因はこれ以外にも、沢山あるため多くの場合、複数の技術を関連して行う必要があります。

その中で上肢のケアーは、肩甲骨の痛み解消の技術としては大変重要な部分と言えます。

その点から言うと、手から肘、肩、肩甲骨という部分のアプローチを試みることも

その部分に対する一つの見方であると言えます。

また肩甲骨に限らず身体のケアーをする上で、大切なことは、痛みがある部分には、そこから離れたところに原因があることも多いということを知る必要があるということです。

 

 

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