2019美容矯正の解釈学
質問者:Miyu,Sato東京都新宿区(美容矯正セラピスト)
勝山先生に質問です。
お客様の足の付け根の関節や腕の付け根の関節を緩めるとスッキリした気がするのですが、続けたら痩せやすくなりますか?
質問の回答です。
一般的な多くの解剖学書籍では関節については構造や一部分の独立した動きを詳細に説明しています。
しかしながら、その動きはそこだけにとどまらず筋膜等の結合組織を通じて全身に及んで行きます。
関節は全身が動きながら曲線的に弾力性を保つためには非常に重要な構造部分です。
この観点から言うと
身体が痩せて見えることに関節の動きが関係していることは確かです。
しかしながら、健康的に自然に痩せた状態を持続するためには、他の要素や働きが関係してくるのは一般的に広く知られている事実です。
ここでは、何故、関節の動きを改善すると痩せて見えるのかについてお話しします。
関節の構造を調べてみると動きのある骨と骨の間には関節包という包みがあり、その中には関節液が含まれています。
そしてその周りには、身体を動かす時に関節がスムーズ滑り安定して動くように、靭帯、腱、筋膜、筋肉等が張り巡らされています。
さらにこの関節包の深層の部分は骨を包む骨膜に繋がっています。
この骨膜は全身の骨に連続して繋がっています。
身体を動かす時は関節の滑りを安定化するために関節包は適度に緊張します。
また動かないで静止している時は適度に緩み弾力性があります。
つまり、関節包は適度に伸びたり収縮したりしている訳です。
ただし、何かの理由でこのバランスが失われ 関節が硬く短縮して緊張したり、伸び過ぎの状態で緊張したりする時間が長くなると、その影響はそこから離れた構造にまで伝わります。
また、動かないでじっとしている時であっても、呼吸や他の内臓の動きや血液やリンパの流れで全身は常に振動しており、その振動は筋膜等の結合組織を通じて足の踵骨から頭の頭頂骨まで伝わっています。
生きてる人間の活動状態を車に例えると、 じっとしている時はエンジンをかけているだけのアイドリングの状態です。
ギヤを入れると車は動きだしますが、人間は関節を動かすと身体は動きだします。
人間の場合、健全な姿勢や動きをするためには、身体の関節がスムーズに動く必要があります。
この関節を包む関節包が何かの理由で、硬くなったり肥厚するとその部分に包帯でも巻いた様な状態の形になります。
例えば、運動等で上半身だけを極端に鍛え上げるとその様な状態になり、さらには下半身とのバランスが崩れ下肢が不安定になり歩行等に影響がでます。
それにより、関節の動きも悪くなり可動範囲が狭まります。
硬くなったことによって、筋肉や筋膜の動きも悪くなります。
さらにその中で流れている血液やリンパも当然循環が悪くなるため、所々に浮腫みやたるみが生じることになります。
その結果、身体の各部に凸が形成され曲線的な弾力性のあるプロポーションが失われることになります。
先ほども言いましたが、人間は、足の爪先から頭の先まで全て筋膜や結合組織(骨膜)で接続されいます。
したがって、例えば足で起こった関節の動きは顔まで伝わり顔の顔面筋膜にまで影響することになります。
これと同じように、手の指先で起こった動きは同じように顔の表情筋筋膜にまで影響することになります。
少し詳しく具体例を上げてお話しします。
肩関節の動きが悪くなると 肩の三角筋とその上にある上部僧帽筋の緊張バランスが崩れてしまいます。
三角筋は一般的には前部から後部までを3等分に分けて説明されていますが、厳密にはその繊維は7等分のブロックに分けられます。
この張力は、下顎の後ろの部分の広頸筋や耳の後ろの部分の張力に影響します。
肩関節が硬く緊張して本来の可動性が失われている場合、頬周りと耳の部分が肩の方向に牽引させて首が太くなり頬が弛むことになります。
また、手や肘の関節の動きは肩や背中の歪み等と関係が深く、不思議に思うかもしれませんが、長期的な猫背姿勢や機能的な側彎症、肩の盛り上がり、さらにはお腹のたるみまでも関係します。
多くの体幹の歪みはその部分に問題があるだけではなく、 明らかに肩からぶら下がる手と肘の部分の関節の問題が関係しています。
一般的なケアーでは、これらの改善のために身体の中心の体幹部分に働きかけていますが、これだけでは不十分です。
また、関節は怪我や使い過ぎだけではなく、 喜怒哀楽の感情の変化も手や肘関節の動きを悪くすることが解明されています。 例えば、極度の憤怒は顎関節や膝関節、憎しみは肩の肩鎖関節、不安や心配は胸の胸鎖関節、嫉妬や妬みは股関節、悩みや悲しみは肘関節、無気力は足関節等です。
この様に関節の動きが悪くなる原因は多岐に渡ることになります。
下半身の浮腫みでは、ほとんどの場合、 足首の関節の動きの制限が原因しています。
特に、観察されるのは足の踵の滑りが制限されていることです。
足は通常滑りと屈曲と進展の動きが連動して 動きます。
しかしながら、足の踵骨の関節の滑る動きが制限されてしまうと 歩行での足の進展や屈曲に伴う裏の動き(外反・内反)がスムーズに行われなくなります。
結果的にこの関節の動きの制限は膝や股関節の動きを制限してしまい関節包の部分を緊張させてしまいます。
関節の動きが悪くなるため、筋肉や筋膜の動きも悪くなります。
当然ですが、それにより血液やリンパの流れが悪くなるため、ふくらはぎや太ももの浮腫みにつながって行きます。
以上のことから、関節を正しく調整することは、各部分の緊張が解放されて筋膜等の結合組織の張力が全身に行き届くことになります。 このことで血液やリンパの循環もよくなり 浮腫みや腫れも解消するため曲線的な弾力性のある痩せて見える構造になります。
ただし関節に病的な炎症や障害がある場合には、安易に無理に関節をケアーすると炎症を悪化することがあります。
その場合には専門医師にケアーを委ねる必要があります。
また、関節を調整することで一時的に痩せて見せることはできますが、それだけでは不十分です。
何よりも健康的に痩せるためには基礎代謝を上げることが大切なことになります。
また食事や適度な運動等 その他の既存の全ての有益な手段を総合的に取り入れるべきと考えられます。