2017美容矯正の真理
質問者:M・Oさん東京都(美容矯正セラピスト・鍼灸師)
私は以前に勝山先生のグループ以外の他のスクールで美容矯正を学びましたが、
施術をしているうちに色々な疑問点がでてきまして、いろいろなスクールの先生に尋ねましたが納得できる答えがありませんでした。
大変恐縮ではございますが勝山先生に質問をさせていただきます。
質問文、
お客様のデコルテから肩回りを整えている時、施術をしている側のフェィスラインがスッキリしているように毎回思うのですが肩回りと顔はどのように何が関係がありますか?
ご回答よろしくお願いいたします。
質問の回答です。
顔と人間の構造の関係を分析するのには様々な方法があります。
エステティシャンの方たちはリンパ液の流れを中心とした考え方を基本にしています。
骨格系の矯正に従事しているセラピストは骨盤や脊柱などの骨の配列から人を評価します。
西洋医学の医師等は神経・血液・体の内部器官と筋群・軟部組織の病理の状態を評価します。
美容矯正に携わる私たち(勝山美容矯正)は顔と体を唯一ひとまとめにしている結合組織の連続性の変化と感情的な心理的変化も評価の対象にしています。
その中で特に私たちは結合組織(筋膜・腱・靭帯・骨膜)の連続性を重視しています。
例えば、一般的には筋肉は骨に着くと言っていますが、厳密には正しくありません。
筋は腱や腱膜といったものとつながって骨を包む骨膜につながっており、さらに骨も筋肉も網状の筋膜組織の中に取り込まれています。
そして筋肉はその筋膜などの結合組織の経路の中で働きます。
質問の内容との関係でお話しすると
1顔や頭部・2胸郭・3肩は動いている時も休んでいる時も常に連動して動いているということです。
もちろんこの3つの部位の連動を可能にしているのは筋膜です。
例えば、胸郭の上部肋骨(鎖骨の下にある第一肋骨と第二肋骨)が鎖骨の中に陥没した平たい胸の人は必ず両肩が挙上して頭が前方に突き出ています。
比較的年齢が若くてスキンケア―をキチンと行っているにもかかわらず、顔のたるみやしわ等の弾力性が失われている方を観察すると、上部胸郭が押し付けられ下部肋骨が外側に張り出し両、両肩は近づき狭くなっていることが観察されます。
この頭と顔が前に出ている状態から頭を後ろに動かすと、肩は下がり胸の上部は前に出て開き姿勢が良くなります。
このように、これらの3つ部位は相互に影響し合って姿勢を変化させています。
この関連性は、顔にたるみのある多くの人達の特徴的な姿勢といっていいほど、
常に頭・胸・肩の3セットで同時に存在しています。
したがって、肩のケアーの目的で施術中に顔の変化が生じ観察されるのは、この3つの部位の結合組織である筋膜の引き合う張力の働きでその効果が表れることになります。
少し詳しくなりますが、具体的には肩の三角筋の筋膜が重要な要素になります。
三角筋と僧帽筋の個々の名称は一般的によく知られていますが、顔との関連性ということになりますと、そのメカ二ズムを正しく理解している方は比較的少ないようです。
三角筋は胸の大胸筋と後ろの背中と首や頭についている僧帽筋と連動して機能します。
また三角筋は肩の関節を動かす筋肉を包んでいます。
肩の前面の深層では3つの筋肉と後面では3つの筋肉の付着部にかぶっておりそれらを包んでいます。
また機能的には骨盤の安定性と関係する上腕についている広背筋や肩甲骨の大円筋、小円筋や棘下筋そして背中の菱形筋とも影響し合っています。
それでは、具体的な顔の位置関係を分析することにします。
顔と直接接続するのは広頚筋です。
顔の口角やアゴ周りの部分やアゴの先端(オトガイ)からエラの手前までは三角筋ではなく、大胸筋の筋膜と接続する部分の広頚筋が伸長し引き合います。
エラの後ろや下顎角周辺の部分の広頚筋と耳の手前までは、肩の前側の部分の三角筋の前部繊維が伸長し引き合います。
この部分はアゴの顎関節が左右の横ずれが起るときにも関係がありアゴ先が左右にずれる原因にもなります。
さらに詳しくなりますが、アゴのエラ周辺は三角筋だけではなく、厳密にはその深部にある4つの筋肉(小胸筋・上腕二頭筋・烏口腕筋・鎖骨下筋)を含む5つの筋肉を包む筋膜の位置と滑る柔軟性が深くかかわってきます。
これにより、アゴ周辺の容貌は1上腕と2肩甲骨と3胸郭の肋骨と4鎖骨の筋膜構造とそれぞれの5つの筋肉の動きや位置が影響することになります。
三角筋について、すこし詳しくお話ししますが三角筋の繊維は7つの繊維に分析しなければなりません。
一般的な解剖学書ではあまり説明がありませんが、前面にある部分の三角筋前部繊維はさらに2つに分かれます。
この部分はアゴのエラの部分は1カ所目で2か所目はそこから耳までです。
耳の後ろの部分は肩の三角筋中部繊維とつながりますここは1つの繊維になります。
耳から後ろの側頭部から後頭部の部分は肩甲骨の肩甲棘についている三角筋後部繊維が関係してきます。
この部分は4つの繊維に分かれるため、その上にある上部僧帽筋も機能的に4つに分ける必要があります。したがって後頭骨の付着部もカ4カ所に分析する必要があります。
肩甲骨の肩甲棘を4等分にした部分は僧帽筋を介して首の後ろ側の太さ・厚味・硬さと関係してきます。
この様に、三角筋の筋繊維は7等分の繊維に分割することが必要であり、それぞれの部分が顔のアゴ周りや首の周辺の容貌に影響してくることになります。
さらに厳密には肩甲棘の4つの後部繊維の下にある3つの筋肉(棘下筋・大円筋・小円筋)の位置と動きが関係します。
肩甲骨と肩関節の動きや上腕の筋膜結合を通じて、お互いの引き合う力が三角筋と共に働くために、三角筋を含めこの4つの筋肉の動きが一緒に上部僧帽筋に伝達されています。
そして機能的には骨盤に付着する広背筋の動きと位置も関係します。
ちなみに、首の喉回りから下の部分は肩甲骨の内側にある筋肉の緊張(前鋸筋・肩甲下筋)が深く関係します。
この筋肉のある腋窩の部分を閉める姿勢は、不安や敵対や防御や恐怖の感情を表現するときにとりますが、長期的なこれらの姿勢の緊張は胸郭と鎖骨の位置の部分を固くしてしまい、浅い呼吸作用と狭い肩幅・平たい胸の原因になってしまいます。
多くの施術者が学校で学んだ運動学をそのまま実際に適応しても、施術結果が出ず混乱してしまう大きな要因は、「筋肉は個々に分離していても働きは他の筋肉と筋膜の連続性により共同して働いており個々に分離していない」ということの学習が不足していることにあります。
結合組織の土台は隣接する筋群と同様に筋肉の中の層でも連結しており、筋肉と筋膜は一つの筋肉が単独としてではなく一連の筋群で全体として連続的に動きます。
これらの筋群の柔軟性がなくなると筋は個々に動かすことが難しく、お互いの筋は滑るような動きができなくなります。
そしてこれらの筋群の境界面では癒着・肥厚・短縮がおこり
体の姿勢に応じて筋肉が連続的に動く代わりに、筋が一塊として過剰に使用されることがあります。
これは、ここの筋肉のコリということではなく、深層の筋肉と浅層の筋肉を結合している組織の柔軟性が失われている結果でおこります。
たとえば、上肢を側方に広げる場合は三角筋と僧帽筋は単一の筋肉ですが機能的に連続した構造であり上肢を挙上するときに連続して働きます。その時には広背筋と大胸筋は共同して緩みます。
逆に上肢を体の側方に戻す時には三角筋と僧帽筋は緩み、大胸筋と広背筋は共同して収縮します。
肩の施ケアーで顔に変化が生じるのはこのようなメカニズムが関連しています。
尚、顔の変化はこれ以外にも他の体の構造がミックスされて起こることが一般的です。
厳密には内臓の位置などの影響も考える必要があります。