2016美容矯正の大秘密(おば肌撃退大作戦)
質問者:YUMI-Oさん、美容師、東京都国立市
勝山先生に質問です
首のシワは体の骨格や姿勢とどのように関係しているのでしょうか?
少し詳しく教えてください。
質問の回答です。
首のしわは、皮膚の老化によってもできますが、若い世代に出来るシワは多くの場合
首の周りを包んでいる、3層の筋膜のシリンダーの位置の移動により出来てしまいます。
具体的にいうと、皮膚に近い表層では表情筋と同じレベルの首の広頚筋を包む筋膜、中間層では首の胸鎖乳突筋を包む筋膜(頚筋膜浅葉)、深層では気管や甲状腺や食道を包む筋膜(気管前葉)です。
一般的には広頚筋や胸鎖乳突筋を包む筋膜を開放するとシワは薄くはなりますが完全に消えることはありません。
何故かというとそのレベルよりも深部にある舌骨の位置が関係しているからです。
そして首の構造はこの舌骨を中心にして5の筋膜ボックスに分けられます。
この5の筋膜で構成されているボックスの形と引きつけ合う緊張のバランスによって、ある程度首の太さや長さが決まります。
この詳細部分についての説明は省略しますが
いずれにしても、舌骨はアゴと喉の角度を決める骨です。
一般的には、比較的若い人の首にシワができる場所としては
舌骨の下に甲状軟骨という部分がありますが、その前方に突出している喉頭隆起(喉ぼとけ)とその下の部分(下甲状切痕)の曲線状の溝や、さらにその下にある輪状軟骨の部位で、その窪みに食い込んだ筋膜の緊張が深いレベルでの2~3本のシワができる場所です。
このシワは20代~30代でもよく観られそのラインが比較的茶色から黒ずんでみえます。
では、何故、舌骨の位置がずれるとシワができるのでしょうか。
そもそも舌骨は、首のどの骨とも付着せず喉の上に浮いているだけの骨です。
舌骨は、上の方では下顎、下の方では甲状軟骨を通じて胸骨、後ろの方では肩の肩甲骨等、3か所の筋肉や筋膜でつながっています。
したがって
肩の高さや鎖骨の高さ、首の位置や下あごの傾き等の姿勢に深く関係することになります。
上記のように
首のシワは舌骨の下にある甲状軟骨の喉頭隆起(喉ぼとけ)の下の部分の溝に2~3本できることが多いのですが、
ご自分で鏡などを使ってよく観察してみるとわかりますが、そのシワのラインは多くの人の場合、正面から見ると横に輪状に2~3本出来ていますが首の横と後ろでは頭と首の付け根にむかって斜めに上がって出来ています。
つまり喉回りのシワは、首の付け根の位置から下に降りて行き舌骨や喉ぼとけの位置にラインを作ってできていることになります。
専門的立場でいうと、この周りに機能的に出来ている「顎下横軸筋膜ストラップ」というアゴと首の付け根に出来ている肥厚したアゴ紐のような筋膜の緊張が原因して出来ているということになります。
この筋膜が過度に緊張するパターンとしては
多くの場合、長期間のディスクワーク等での姿勢で、首に対して頭を前に出す前かがみの姿勢と一緒に肩を挙上する姿勢によって出来てしまいます。
この姿勢を長く続けてることで、舌骨の下にある喉の舌骨下筋群(口を開けるときに緊張する)が過度に緊張すると下方に引っ張られてしまいます。
これは典型的な二重アゴとして観察されます。
またこの筋膜層が硬くなると、アゴの動きが制限されてしまい顎関節の機能に影響が出てきます。
さらに、頭と首の付け根の緊張が強くなると上を向くのに比べ、下を向くのに制限があり下げる努力が必要になります。
このことにより、歩行動作などの時に働く頭部の滑らかな動きも減少してしまいます。
また、この部位の長期間の過度な緊張は頸椎を超えて頭蓋骨をさらに前方に押し出してしまい、後頭部が非常に平べったい外観を呈してしまいます。
また、これに連続的に関連する舌骨の部位の緊張は心理面や発声、嚥下動作にも影響が出るところです。
心理的に不安を抱えて人前で話す時などのささいなストレスでも喉の周囲の硬さにつながったり、興奮して怒ると人の声は上擦り、言葉の単語も出なくなってしまいます。
そして深い悲しみでは皆息を詰まらせてしまいます。
また、首のしわができる原因としては舌の動きにも関係しています。
舌骨と舌は舌骨舌筋という筋肉でつながっているためです。
ただ単純に口を開けるだけでは、喉回りに数本の皺が横に輪状できるだけですが
軽く口を開けて舌を少し前に出すと首の後ろ側にも横シワが数本できることがあります。
口をおおきく開けて舌を前に長く出したり、下に向かって舌を長く出すと首の側面に縦シワが数本できます。
もう少し詳しくお話しすると
舌骨周辺のシワはアゴ周りの筋膜だけでではなく、鎖骨と肩回りや腋窩の筋膜に深く関係しています。
多くの場合、喉回りにシワや膨らみのできる人は喉仏の下に、顕著な硬さがみられます。
この原因は、首の基底部(第7頸椎)の緊張や首の深部筋である斜角筋の緊張や、それと繋がっている深部の肺尖の緊張、さらには、鎖骨の下にある肋骨部位の鎖骨下筋の緊張、背部の肩甲舌骨筋の緊張により肩甲骨上縁が硬くなっていることにあります。
また一般には、あまりよく知られていませんが、この頸部の「横軸筋膜ストラップ」は肩を経由して腋窩の筋膜の緊張を引き起こし、それと関係している上部肋骨の動きを制限してしまい、息のつまった感覚を引き起こしてしまいます。
つまり、わきの下の腋窩筋に筋膜できる筋膜ボックスの緊張が喉を下に引き下げるように働いていることになります。
二重アゴのある人達の多くの人には、首の斜角筋の周辺に窪んだ部位がありますが、これはこの部位の緊張によって出来たもので、喉ぼとけを下に引き下げている頸部の筋膜の緊張を意味しています。
ちなみに、手の手掌側にある親指を曲げるときに働く筋肉や力拳を作るときに働く上腕の筋肉、胸郭と肩甲骨の間の動きに関係する、胸部の深部にある筋肉を包む筋膜は胸骨部で舌骨に向かう筋肉と枝分かれしたものです。
したがって、手の動きは首のシワや膨らみに筋膜構造的に影響があるといえます。
エクササイズとしては、
- 舌骨を軽くつかみ口を開けた状態で下を前に出す動き
- 両肩を下げた状態で舌を前に出す動き
- 腋窩に手を入れて引き下げ舌を前に出す動き
- 顎を下に引いて舌をだす動き
- 喉ぼとけを軽くつかんで上・下・左・右に個別に動かし唾を飲み込む動き等をしてみてはいかがでしょうか。