体の動きで顔の形は変化する顔面美容力学
今月は肩甲骨の位置のズレで顔が変化するお話です。
肩甲骨は、筋筋膜の接続の関係で頭蓋骨の位置を決める重要な骨です。
また、鎖骨の高さや胸の張にも深く関係しています。
さらに、上肢の肘や手の先まで筋筋膜の接続があるため、左右の顔の対象性を維持するには、肩甲骨から手の指先までの緊張力のバランスが等しくなければなりません。
肩甲骨はさまざまな原因でズレてしまいますが、まず顔の変化と直接関係するルートをお話をします。
例えば一つのテスト法の例を上げると、
脇の下を摑むと左右で厚さがちがいます。
肩甲骨がずれている人は脇の下から手の指を3本揃えて胸の大胸筋の下に入れて胸骨とノドの中心に向かってゆっくり深く押し込むと左右の胸の奥(小胸筋の過緊張)のどちらかが固く緊張しているはずです。
胸が固く緊張している側の肩甲骨は背中の外側に移動しており、殆どの場合そちら側の背中は丸まっており、肩甲骨と胸郭が密着しすぎているため、例えば物をつかむため手を伸ばして上に上げることが困難です。
この様な場合背中から見て肩甲骨が外側に移動して傾いています。
全てではありませんが、その側の肩は肩幅が広くなり前に突出して高くなります。
鎖骨の位置は反対側に比較すると高くなることになります。
また、別のテスト法は、立った姿勢の状態でお腹を引っ込めて両手を組んで後ろに回し床方向に交互に腕を下げてみます。
腕が良く下がる側は肩甲骨が下がっており、なかなか下に動かない側は肩が上がっている側です。
このテストで動きずらい場合には手の親指と小指の筋膜ルートの接続する肩甲骨の位置異常が関係します。
また、このテストで動きずらい腕の側の肩幅が狭く肩が高い場合は手のルートではありません。
この場合、動きずらい側の反対側の後頭部からクロスして肩甲骨の中に入りそこから出て肋骨を支えているルートが関係しており、主にウエストの筋膜と骨盤から足の内側に続くルートが原因となります。
手の指と顔の接続ルートでは、拇指の筋筋膜はアゴ周りの位置の筋筋膜を緊張させアゴを斜め横方向に歪ませます。
小指の接続ルートは、肩甲骨から上の後頭部の筋筋膜を緊張させ頭の傾きを生じさせます。
すこしだけ詳しくお話しすると、片手で重いバックや荷物を持つとその力は親指と小指の握る力は手の平全体から腕と肩を通じて後頭部の中心の筋膜(上部僧帽筋)にストレスをかけます。
腕だけの重さは約4キログラムですが、それにプラス1㎏~2㎏の力が後頭部にかかるため頭は首に対して前に移動してしまい、アゴ先が突出しそれと連動してさらに首の付け根が緊張してしまいます。
重いものを持った側は、肩が下がりがちになるため反対側の肩でバランスを取るようになり
胸の胸郭は反対側に移動しさらに反対側の腰とお尻や内股にもストレスをかけることになります。
普段の正常な位置の肩甲骨は、肩関節を様々な方向に動かすように出来る構造になっているため、筋筋膜のルートでは頭や顔のゆがみに直接関係はしません。
しかし、何かの異常で肩がスムーズに回せない場合には、明らかにそれと接続しているルートを通じて頭の傾きやアゴの位置変化が生じます。
この片手でバックを持つ例をさらに詳しくお話しすると、バックを持つ側の手はその重さが重くなればなるほど手掌で握る力は強くなり腕の筋筋膜は緊張して肩甲骨と肩関節(腱板筋)は固くなると同時に肩甲骨を背中の上の方や首の方に引き寄せる(大小菱形筋の収縮)力が強く加わります。
そしてバックを持っている反対側の首から側頭部の後ろにかけての緊張をもたらしてしまいます。
その結果、同じ反対側のウエストの腹斜筋の力が弱くなりお腹が横にはみ出すように移動してしまいます。
さらに、この緊張はその同じ反対側の顎関節の動きを不安定にしてしまいます。
特に、反対側の物を噛む力が衰えてしまい、しばしば食べ物を噛んでいるとき間違って自分の口の中の肉を噛んでしまう癖がついてしまいます。
このことは、また口の口角の傾斜や頬のはりの違いや法令線の深さの違いになって現れます。
両目を比較するとバックを持っている側は目が張り出る印象になり反対側は目が引っ込む印象になります。
眉毛はバックを持っている側は、帽状腱膜が眉毛の筋膜を後ろに牽引するため眉毛は太くなり横幅は狭くなります。
さらに同じ側の頭皮は皮膚の過伸張により毛根の支持力が低下し髪の毛の抜け毛がはやくなる原因となります。
髪の毛の流れは、後ろから外側へ広くなるため、反対画に比べると額の生え際から頭の中心までのゾーンが薄くみえてきます。
バックを持っている側では、胸と肩周囲や肩甲骨が固く緊張してしまうため呼吸が困難になり息苦しさの原因の一つになります。
足の形を見ると、バックを持っている側の膝のお皿(膝蓋骨)は内側に移動し足首は外くるぶしが緊張しているため指先は外を向き足の土踏まずが下にさがって外反足(足裏の外返し)になっています。
反対側ではウエストの緩みと足の土踏まずが深くなり(内側足底弓の緊張)内股の筋肉(内転筋)が緩み同じルートの骨盤底の筋膜の緊張力が低下するためにその反対側への骨盤内臓臓器の位置移動の原因になってしまいます。
肩甲骨を後ろから観察すると肩甲骨の上側が外に傾斜している場合、明らかに手の親指から腕を経由して肩までの何処かに問題があります。
この場合、後頭部の外側にある深い筋肉(外側頭直筋)の異常な緊張があるため普通の運動や体操ではなかなか頭の傾きを正すのは困難です。
また、肩甲骨の上側が内側に傾いてさらに上がっているときは、同じ側のウエストから反対側にまたがる腹斜筋が弱くなっており、足は内反を起こしているため、これも単んなる運動だけでは正すのは難しくなります。