2017美容矯正の真理
質問者:MIWAKO-Kさん(東京都)オートクチュールアナリスト
勝山先生に質問です。
ブライダルのために来られたお客様はビスチェタイプのドレスを着られるため
ほぼ皆さん二の腕やせを希望されます。
先生のスクールでオートクチュールの技術を学び肩から胸郭を細くすることができ大変喜ばれたのですが二の腕はもう少し細くしたかったと後悔が残ってしまいました。
もし可能でしたら挙式までにご本人ができるエクササイズを教えてください。
質問の回答です。
腕の痩身には、沢山の角度からアプローチをする必要があります。
例えば、食事制限によるダイエット、むくみの原因の一つである水分を排泄するリンパドレナージや運動と併用した器具による圧迫法等です。
腕の太くなる原因には、不良姿勢の長期化による筋肉・筋膜の弾力性の低下、手・前腕・上腕の使いすぎ、肥満体による脂肪の増加や血管内のたんぱく質の成分のアンバランスによるもの、内臓の病変、ガン等の摘出手術、感染による炎症等沢山の原因があります。
ここでは、不良姿勢や手の使いすぎによる腕の太くなる筋膜のメカニズムに焦点を絞ってお話しをいたします。
腕は肩から指先まで前面2層(浅層と深層)と背面2層(浅層と深層)の4層の筋膜ボックスに仕切られています。
その4層の中にそれぞれ筋肉や血管・神経・リンパ管などが入っています。
この肩から肘や手の部分的な筋肉や骨の動きを連続的に繋ぎ、ある動作を可能にしているのはこの4層の筋膜網です。
筋膜網はただ筋肉を包んでいるだけではなく、各筋肉の内部まで入り込んでおり筋肉同士を接続しています。
この筋膜網の弾力性があり各筋肉同士の間をスムーズに滑ることができると動作がスムーズにできるだけではなく、筋肉や皮下組織の血液やリンパ等の液体の流れも活発になります。
また腕は通常で体重が40㎏~50㎏の人の上肢の重さは片側だけで約3㎏~4㎏あります。
この重い腕は、肩からぶら下がっているため肩の肩甲骨の位置と鎖骨や胸部とその上の頚椎や頭蓋骨の位置や緊張とも深い関係があります。
まず、腕の前面の浅層と腕の後面の浅層の腕の繋がりを調べてみると手掌の5本と手背の5本の指の筋膜は肘の少し上の二の腕の内側と外側の細くて糸のような筋膜結合組織(筋間中隔)につながります。
実はこの糸のような2つの結合組織(筋間中隔)が二の腕の前面と後面の筋肉を仕切っているので肩と手の痛みや浮腫みと腕の動きや血液やリンパの流れに大きく影響します
手掌の側の筋膜は、そこからさらに上に進み腋窩から胸の大胸筋を包みます。
その筋膜接続があるために手で物を握りったり脇を閉めると胸の筋肉が緊張します。
手背の側の筋膜は、そこから肩の三角筋から後頭部や背面にある僧帽筋までつながります。
その筋膜接続の関係で手を反らしたり腕を横に挙げたりすると肩や首の筋肉が緊張します。
この肘にある筋膜結合組織(筋間中隔)の部分は細くて短い部分なので普通の全体的な運動や体操の繰り返しだけではストレッチはなかなか難しい場所です。
また、逆にいえば、ここをうまく使うことは腕を全体的にケアーできる貴重な部位となります。
ここでは、この部位の筋膜結合が影響を与えると考えられる、腕が太くなる原因の一例としてパソコンなどの操作姿勢を上げます。
パソコン操作などで指を使うと腕を内側に回し前かがみの姿勢になるために
胸の前側の筋肉は短縮緊張します。
そのため肩の肩甲骨はどうしても外側に移動してしまいます。
この姿勢は、肩甲骨と肘についている二の腕の後ろ側の上腕三頭筋の筋膜を緩めてしまい伸長緊張状態を起こしてしまいます。
長期的には二の腕の後ろ側のたるみになる可能性があります。
また、腕の腋窩の後ろ側にある背中の広背筋や肩甲骨の大円筋が肘を外側に張ることにより伸ばされてしまいます。
この部分は長期的には脇の下の後ろ側のたるみになる可能性があります。
腕の深層の筋膜に話をすすめます。
手の親指を単独で包む筋膜は深層の筋膜といわれ二の腕の前側にある3つの筋肉(上腕二頭筋・上腕筋・烏口腕筋)を包み胸の奥にある小胸筋と繋がります。
小胸筋は上部肋骨と肩甲骨の烏口突起についているため肩の鎖骨と胸の間の組織を緊張させます。
この緊張は肩の突出や肩甲骨の前傾と内旋(肩が内側に回る)を生じるため背中は円背になりやすくなります。
手掌の小指を単独で包む筋膜は、やはり深層の筋膜といわれ二の腕の後ろの上腕三頭筋と肩甲骨の4つの腱板筋(小円筋・棘下筋・棘下筋・肩甲下筋)を包み肩甲骨の内側の筋肉(菱形筋)と首の筋肉(肩甲挙筋)と繋がり、最後は頭の後頭骨の深部の筋肉(外側頭直筋)と繋がります。
パソコンの操作の姿勢は、このルートにも影響してしまい肩と首の付け根の痛みや盛り上がりはこのルートの部分的な緊張と弛緩によるものです。
パソコンに限らずこのような姿勢をする作業や姿勢は同じことが言えます。
腕の中にはに動脈や深部静脈に並走する深リンパ管(深在性)と,皮下組織内に存在する浅リンパ管(浅在性)があります。
筋膜の上部にあるものが浅在性で,筋膜の下にあるのが深在性です。
皮膚表面に近い部分のリンパ管(毛細リンパ管,前集合リンパ管)を起始リンパ管といい,集合リンパ管へと続きます。
筋膜の下のリンパ液も筋膜上に上がってきて集合リンパ管に合流します
したがって4ボックス筋膜網の機能のバランスを改善することが腕周りの組織液を排泄する重要な要素となります。
要約すると
1、前面の筋膜では手掌での握る力は乳房の下にある大胸筋。、
2、肘を曲げる筋肉を包む筋膜は大胸筋の奥にある肋骨と肩甲骨をつなぐ小胸筋。
3、手を反らす筋肉を包む筋膜は肩の三角筋や僧帽筋。
4、小指の筋膜は肩甲骨の深部や肩甲骨の内側と頸部を包む筋膜。
ということになります。
技術的な面では、まずはこの肘での接続結合組織である筋間中隔を解放するすることをお勧め致します。
次に効果があると思われるエクササイズを紹介いたします。
まず、坐位で腕を肩より上に挙げるか、または仰向けに寝て頭の後ろに枕をおきます。
寝て行う場合は腕が頭より上に来るように枕を調整します。
1、腕をしっかり伸ばした状態で肘の付け根の内側を二の腕の方に腋窩の下までスライドします。その時に手首を反らしながらゆっくりスライドします。(3~5回)そこには尺骨神経がありますので、それに触らないようにまた痛みが出ないように気を付ける必要があります。
2、次に同じポジションで肘の付け根の外側を三角筋がついている盛り上がりの手前までスライドします。(3~5回)その時に手首を曲げながらゆっくりスライドします。そのラインは比較的強く上腕の手前の筋肉の外側の中にスライドする必要があります。
4、次に前腕の外側の中間(橈骨中央)から肘の内側まで斜めにスライドします。(3~5回)この時、同時に腕を外側に回します。
5、次に親指が上にくるように腕を回します。前腕の外側にある橈骨の中間から外側を肘の上に向かってスライドします。(3~5回)この時、同時に手首を下に下げるように動かします(尺屈)。
6、次に腕と胸部の方に移動して腋窩の手前の筋肉を片方の手で挟むように掴みます。掴んで前に持ち上げると同時に腕を外側に回します。(3~5回)
7、次に手首を出来るだけ多く揺さぶります。(10秒間)
8、次に腕を外側に回した状態で手を反らし手首の近くの手根を20回ほど叩きます。
9、次に腋窩の後ろ側を掴みます。
10、掴んだところを後ろに押しながら腕を内側に回します。(3~5回)
11、次に手首を出来るだけ多く揺さぶります。(10秒)
12、次に腕を内側に回した状態で手を反らし手首の近くの手根を20回ほど叩きます。以上です。
この操作は筋膜を連続的に解放し筋肉の収縮や関節の動きを使いながら手首を叩打することによる刺激を加えることで静脈やリンパの排泄を促進させるエクササイズです。
効果があるからといって一日に何回も行う必要はありません。
一日に朝・昼・晩一回ずつで十分です。
過剰な繰り返しは炎症を起こす可能性があります。
最初の効果は腕の各部分が柔らくなってきます。
その後数日で引き締まり効果が出た方が多いようです。
尚、肥満による腕の太さは食事療法によるダイエット法が優先されます。
血管系や内臓の病変によるものは専門の医療機関によるケアーが優先的に必要になります。