2月の美容矯正メッセージ

2022 顔と体の美容矯正コンメンタール(Kommentar) 

 

 

質問者:Yuko-kさん(東京都渋谷区在住:鍼灸師・美容矯正セラピスト)

顔の輪郭は肩の高さの違いや腕の位置の違いに影響しますか。

もしそうだとしたら具体的にどのように影響しますか。

少し詳しく教えていただきたいです。

 

質問の回答です。

顔の歪みやたるみには身体全体の多くの
部分が関係します。

肩の部分もその中の一つです。

肩からぶら下がる片側の上肢の重さは約4~4,5㎏あります。

肩甲帯の関節はその上肢の重さに加えて
さらに手で重い物を持ったり運んだりした時に様々な方向へ動くように肩をコントロールします。

この上肢と肩甲帯からの重力と一緒に伝わる牽引力は頭蓋骨の顔の側面の筋膜へも伝達されます。

肩甲帯(鎖骨・胸骨・肩甲骨・上腕骨)で形成される肩のボックスの位置と形や大きさは
部分的に顔の左右の輪郭の違いに大きく影響します。
特に、それは顔の正面というよりは横顔の幅の広さと長さの違いに影響します。

極端な言い方をすると左右の肩の位置と幅がそれぞれ違うと
頭と体幹の中心部分に対して顔の筋膜は捻れてしまいます。

例えば、肩が前に突出している側と後ろに後退している側では口元と頰やエラまでの筋膜の張力が違います。

立位では肩は顔よりも下位に位置しているため、

肩が前に突出している側は顔の筋膜を斜め前方下方向に牽引します。

つまり、口元、頰、エラまでの筋膜部分はその引き出された方向に膨らみ下方向に引き下げられます。

肩が後ろに後退している側では、反対に顔の筋膜を斜め後方下方向に牽引します。

したがって、口元、頰、エラの部分は後方下方向に膨らみが少なくなり斜め下方向に引き下げられます。

このようなパターンの顔の筋膜のねじれは、肩の関節部分が関係しています。

解剖学では肩の関節は5種類の関節に分けられます。

一般的に肩関節と呼んでいる部分は正式には「1,肩甲上腕関節」と呼びます。

その上の部分で機能的に動く三角筋とその下で滑る部分を「2,三角筋下関節」と呼びます。

さらに機能的に肩甲骨が胸郭の上を滑る部分を「3,肩甲胸郭関節」と呼んでいます。

この関節は鎖骨の内側の「4,胸鎖関節」と肩の外側
にある「5,肩鎖関節」と機能的に連動して動きます。

この中で顔の輪郭と直接関係する重要な部分は「3,の肩甲胸郭関節」の部分です。

肩の前後幅の厚さの違いは、肩甲骨と鎖骨の関節部分(肩鎖関節)の間の広さとそのV字の形をした部分の角度(立体角)の違いを表しており、このV字の角度が広い方は肩の前後幅が厚くなります。

 

一般的に解剖学では

腕を垂直に垂らした姿勢状態では肩甲骨と鎖骨の付け根の肩鎖関節部分の角度(立体角)は約60度です。

また、立位姿勢の静止している時では肩甲骨は冠状面(又は前額面)に対して約30度の角度で斜め前外方の向きで肋骨面に位置しています。

その時は背骨の棘突起と肩甲骨の内側との間の幅は約5センチ~6センチです。

肩甲棘の内側の端は胸椎3番の位置にあります。

また肩甲骨は上下方向に約10センチ~12センチ動きます。

つまり肩甲骨の上方部分の上角と下方部分の下角はこの分だけ上下に移動することになります。

また肩甲骨は肩甲棘の下の部分にある軸点上で回転して傾斜します。

その場合、最大で上角は5センチ~6センチ移動し、下角は10センチ~12センチ移動します。

そして、筋肉の収縮や姿勢や動作の違いによりこの動き幅の組み合わせパターンが変化します。

例えば、極端に肩幅が長くなるように肩が外側と前方向に移動した時は

肩甲骨は背骨から外側へ移動してその肩幅広くなります。

直立姿勢の静止位では、この角度や長さが左右両方が揃っていれば、顔の横顔の幅も同じになります。
しかしながら、実際には、そのように揃っていることはほとんどありません。

特に顔の横顔の横幅には鎖骨の肩鎖関節部分と肩甲骨の外側端にできるV字状の角度、いわゆる肩甲鎖骨角(静止位て腕を垂直に垂らした時では約60度前後)が深く関わっています。

この肩は前に突出している側では肩幅が長くなります。

後ろに後退している側では肩幅が短くなります。

また、この肩甲鎖骨角の角度の変化には

肩甲骨の肋骨上での動きによる傾斜角度と前後・上下方向への移動の幅も関係します。

上肢では関節窩の関節面での上腕骨頭の位置や方向(屈曲・伸展・外旋・内旋・外転・内転)等の違いが関係します。

具体的には

この肩鎖関節の肩甲鎖骨角の先端から始まる顎先と頰とエラの部分までの筋膜張力ラインは放射線状方向に影響しその広さや膨らみの違いの原因になります。

顔の口角の部分は広頸筋が関係していることは、一般的によく知られていますがこの部分の繊維は胸郭と肩の2つの方向からの繊維が関係します。

一般的には、顎先周辺から口角までの部分は大胸筋鎖部の繊維から接続したものです。

エラ周辺から口角までの部分は鎖骨外側に付着する三角筋の前部繊維です。

大胸筋鎖骨部からの場合、その深部で鎖骨を肋骨に対して下げる働きのある鎖骨下筋とそれを固定する肋鎖靭帯が関係しますが

三角筋前部繊維の場合は
鎖骨と肩甲骨の烏口突起をつなぐ深部の烏口鎖骨靭帯や三角筋の前部繊維と筋膜的に連続でつながる上部僧帽筋の鎖骨付着部分が関係します。

この上部僧帽筋の鎖骨部は背中に向かう筋肉ですが
この部分の緊張は顔と頭の前方移動と深く関わっています。

いずれにしても、両者とも喉の部分の前頸三角から後ろの後頸三角までの首周りの筋膜である頸筋膜浅葉につながることになります。

 

それ以外では、

肩甲帯と胸郭とのバランスが関係します。

顔の筋膜に歪みがある方は

どちらかの肩の肩甲帯ボックスがその下の胸郭の肋骨からの部分のサポートが弱く不安定でズレやすくなっていることが多いようです。

その場合は、胸郭の上下・左右方向への傾きや前後方向へのねじれが生じます。

これにより、肩甲骨の位置とは別の問題があることになります。

つまり、胸郭の位置の問題で肩の高さが上下に変化してしまいます。

一般的に美容矯正セラピストがチェックしてる顔の正面からの左右の違いは主に顎先のズレが原因です。

また、顎先のズレは顎関節のズレが主な原因です。

この場合

一般的にズレた側の頰が突出して見え頰周りも下の部分が膨らんで見えますが
口元から下の部分は下顎が後ろに移動しているためエラの部分も後ろに移動しているように見えます。

反対側では頰は幅が広く見え下顎関節が前に移動しているためエラ部分は前に移動して広く大きく見えますが顔は目元は吊り上がりリフトしていますが頰は平坦に見えます。

オステオパシー医学では仙骨と頭蓋骨の歪みパターンが6パターンあるとしていますのでこのパターン以外にも沢山の顔の変化が起こることになります。

あくまでも、これは顎関節の安定性が失われた時に起こる下顎のズレが顔の正面に与えている現象を意味しています。

横顔の幅については、肩の鎖骨と肩甲骨の間にできる角度が関係する肩甲帯の広さと盛り上がりや肩幅の長さが深く関わっています。

特に厚さや長さの違いは頰やエラの幅の違いに直接影響します。

肩の前後幅の厚さの違いは、肩甲骨と鎖骨の関節部分(肩鎖関節)の間の広さとそのV字角度(立体角)の違いを表しており、このV字角度が広い方は肩の前後幅が厚くなります。

先ほども同じことをお話ししましたが

一般的な解剖学では

肩甲骨と鎖骨の付け根の肩鎖関節部分の角度(立体角)は60度であり肩甲骨の上角方向と鎖骨の内側部分と胸骨の部分の関節(胸鎖関節)の方向に広がってゆきます。

また、肩甲骨は冠状面(又は前額面)に対して30度の角度で斜め前外方の向きで肋骨面に位置しています。

直立姿勢の静止位で、この30度の角度で肩甲骨が左右両方が揃っていれば、顔の横顔の幅も同じになります。

しかしながら、実際には、そのように揃っている人はほとんどいません。

なぜかというと

日常生活の中で実際にバランスよく腕を使う時の肩甲骨位置と上腕骨の関節面(肩甲上腕関節)での角度は腕を垂直に垂らした位置より約30度内側に回した位置(上腕骨の内旋)が生理的な基本位置だからです。

基本的には、この位置が腕の動きに関係する筋肉が機能的にバランスよく働く位置になります。

つまり、腕を垂直に垂らした静止位置よりもその分だけ肩甲骨は背骨の正中線から外側に移動することになります。(肩甲骨は片側だけで最大で背骨の正中線から15センチほど外側に移動する)

 

このことに関連する具体的な一例を上げてお話しします。

例えば、

菱形筋が短縮して肩甲骨が内側に移動している側はさきほど説明した鎖骨の外側端に対して肩甲骨の肩峰の間の開きのV字の角度が大きくなります。

また、腕を横に広げたり(外転)前に出したり(屈曲)
する時この角度は大きくなり肩の前後幅は広くなり厚くなります。

反対に腕を内側に回したり(内旋)後ろに移動したり(伸展)するとこの角度は小さくなり肩の前後の厚さは狭くなります。

この動きによる角度の違いは、肩甲帯ボックス筋膜の連続により肩から接続されて最終的に顔を横から見た場合の顎先から頬やエラまでの横幅の違いに影響してしまいます。

当然ですが、肩の角度が大きく広い側の顔の横側の横幅は広くなり角度が小さく狭い側は顔の横側の横幅は狭くなります。

これと関連して体の内側にある鎖骨の関節(胸鎖関節)の機能も顎先から頬やエラまでの横幅の違いに非常に重要な部分です。

鎖骨の胸鎖関節部分は腕や肩の動きの方向に関係して動きます。

鎖骨のシャフトの外側部分はある特定の動作の時には胸鎖関節の関節面を軸にして大きく動きます。

通常では上方向に約10センチ、下方向に約3センチ、前方向に約10センチ、後ろ方向に約3センチ、鎖骨の下にある鎖骨下筋と靭帯(肋鎖靭帯や烏口鎖骨靭帯)の緩みがある時は約30度の角度の範囲で軸回転します。

また肩の肩甲上腕関節での上腕骨頭の動きも重要な動きです。

上肢を肩から垂直に垂らした状態から頭に向かって外転する時には、肩甲骨と鎖骨の外側端のV字角度は最大で70度に広がりシャフトは45度後方に回転し鎖骨の内側端の胸鎖関節部分は10度挙上します。

逆に上肢の伸転時は肩甲骨と鎖骨の外側端のV字角度は10度減少し
内旋時は13度減少します。

尚、肩幅は上腕骨の内旋を伴いながら肩甲骨の下角が60度の角度で前外方向に移動した時に最大に長くなります。

 

一般的に、この部分は体幹の股関節に比べ柔軟性に優れ可動性の範囲が広いため、あまり顔の歪みに対して影響を与える部分として問題視することがないようです。

しかしながら、何かの理由で肩の障害が長期的に続きその位置が固定するとそのまま顔の口元、頰、エラの歪みの原因となることは確実です。

 

 

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