2月の美容矯正メッセージ

2019美容矯正の解釈学

質問者:Junko-Kさん(東京都千代田区)鍼灸師・美容師・美容矯正セラピスト

 

勝山先生に質問です。

 

身体や顔がほっそりしている人でアゴ先が膨らんでいて笑うと二重アゴになってもったいないと思うことがあります。顎回りの構造の理論的な関連性を教えてください。また、それを改善する何かいい方法はないでしょうか?

 

質問の回答です。

 

アゴ先が膨らみ笑うと二重アゴになる原因は、表情筋のたるみの他にも沢山ありますが、その中の一つに喉の舌骨の動きと位置の変化があります。

 したがって、この場合は、ヒントは舌骨とそれに付着している舌骨上筋群にあります。

 舌骨上筋群とは

 一般的によく知られている、顎舌骨筋,顎二腹筋,茎突舌骨筋,オトガイ舌骨筋の総称をいいます。

つまり舌骨上筋群は頭蓋やアゴ先や舌骨からの寄せ集めの筋肉の集合です。

 そして、その下にある舌骨は、体の中で隣り合う骨や軟骨と唯一関節を持たない

宙に浮いた状態の極めて特異で不思議な骨です。

 生物の古生物学比較解剖学という学問によると

有顎類の中で顎を一番最初に獲得した脊椎動物は古代ディオン紀から生息している軟骨魚類のギンザメであるといわれています。

さらに、喉の部分の舌骨上筋群は爬虫類以下の動物にはなく哺乳類以降になって初めて存在する筋群であると言われています。

 そして、二足歩行により陸上で生息し始めた人間は、環境変化に対応するために舌骨の下にある舌骨下筋群から呼吸に関係する気道の形成中に横隔膜を出現させたと考えられています。

つまり、横隔膜は舌骨下筋が下に伸びたものになります。

 また、この舌骨下筋群とアゴの上にある食べ物を噛むための咀嚼筋は

脊椎動物が“顎”を獲得して以来、有名なメッケル軟骨といわれる軟骨や下顎骨に付着してきた筋肉に由来しているので,元来,筋肉の緊張や弛緩を調整する筋紡錘細胞を豊富に有しています。

 これに対して顎から下の舌骨上筋群は

新しく形成された下顎骨と共に新たに分化したもので、骨格の緊張と弛緩を調整する筋紡錘細胞をほとんど有していません。

 したがって、発生学的に言えば、このアゴ先の下の部分はエクササイズや運動などで持続的に緊張させたり鍛えることが難しい筋肉の場所の部分ということになります。

 実は、このアゴ先の筋肉構造の特徴がアゴ先が膨らむ原因と考えられます。

 しかしながら

 この部分の舌骨上筋群の弾力性や舌骨が周囲の骨や軟骨に固定されていないという特徴により,アゴを両左右方向へ連続的に作用させることができることになります。

さらには
舌骨は、この舌骨上筋群や舌骨下筋群の特徴的な作用により,呼吸や開口,咀嚼や嚥下,会話や声を出して歌を歌うなど、日常的な生活に欠かせない運動を自由自在に行うことができ、目的とする運動を実現し,またその連続性をも実現します。

 もう少し具体的にいうと、

食べ物を口腔内に取り込む時には舌骨が固定されたり

舌骨下筋群の筋活動が加わって舌骨が下降し下顎骨が下制して,口を開く運動が得られます。

その後,舌骨が固定されるに伴って,下顎骨が下制され,咀嚼運動が始まります。

また、口腔内に食べ物を頬張りながら、美味いなどと話す時には、舌骨は一度下降します。

そして、その後に起こる嚥下運動時には,

 下顎骨が固定され,舌骨が前と上方に挙上します。

 嚥下の直後の呼吸では舌骨は上下しませんが,その後に続く会話の時には 抑揚や笑いに伴い舌骨は、その上下の組織間を繊細にかつ弾力的にそして連続的に上・下運動します。

 つまり、人間では舌骨が下顎骨や喉頭と一定の距離を保ち,舌骨が自由に動ける運動域が保たれていることで,呼吸や開口,咀嚼や嚥下,会話や笑い,さらには歌などの機能とこれらの連続的動きが実現されることになります。

 尚、この関係はヒトが直立歩行を行ってから数百万年もの歳月をかけて獲得したものと考えられています。

 そして、舌骨は頭蓋を包む筋膜網により、頭蓋の側頭筋,内側翼突筋,咬筋などの咀嚼の閉口筋群により垂直に吊るされている、下顎骨に、連続的に舌骨上筋群を介して吊られており、さらに舌骨は甲状舌骨筋を介して連続的に喉頭を吊り下げています。

 最終的に

下顎骨や舌骨,喉頭を吊り下げる頭蓋の安定性は,いうまでもなく、骨盤の仙腸関節や脊柱全体のS字状彎曲,脊柱起立筋、上肢・下肢の作用による安定した直立姿勢に託されることになります。

つまりは、舌骨や喉回りの状態は姿勢の変化に影響することになります。

 ここで、アゴ先の膨らみを改善するケアーについてのお話しですが

舌の動きが舌骨の位置と深く関係しているためこの部分の動きを利用した

エクササイズが考えられます。

 しかしながら、その効果を長期的に持続させることはなかなか難しいといえます。

 また、呼気と吸気時に音声をリズミカルに出すことで舌骨下筋群の緊張を緩和したり、嚥下時に片方の手で喉頭を挙上し,保つことで,舌骨下筋群の活動性を抑制することで、舌骨下筋群の不必要な筋緊張を軽減させ舌骨上筋群の機能性を上げる等が有効かもしれません。

 最後に

 少しだけ詳しく、顔や舌骨と舌骨上筋群や舌骨下筋群に関係するヒト発生学についてお話しをします。

 一般的に人の頭と頚部は発生4週目の胎生期の鰓弓(さいきゅう)という部分から変化して出来上がっています。

 顔面の部分はオデコの部分以外は第1鰓弓という部分からできます。

 具体的には、顔面は5つの隆起(突起)からできており、おでこの部分の前頭隆起以外は2つの下顎突起・2つの上顎突起といわれる鰓弓からできます。

 この第1鰓弓の部分の外胚葉(皮膚の表皮や神経の材料)由来の神経堤という部分から顔面の中心にある上顎骨や下顎骨・側頭骨鱗部や頬骨・耳の中にあるツチ骨やキヌタ骨などの骨ができます。

 そしてその同じ部分から中胚葉由来の咀嚼筋である咬筋・側頭筋、内・外翼突筋や口腔底の顎舌骨筋や顎二腹筋の前腹・そして三叉神経ができます。

 今回の話しの喉の舌骨部分は、

 その後ろにある第2鰓弓の部分から舌骨小角・舌骨体上部ができ

 その後ろの第3鰓弓の部分から舌骨大角・舌骨体下部ができます。

 つまり舌骨はこの2つの鰓弓が合流してできます。

 そして、舌骨の小角や上部と同じ第2鰓弓部分から、顔の表情筋・下あごの顎二腹筋後腹・茎突舌骨筋・顔面神経・耳のアブミ骨筋ができます。

 さらに、舌骨の大角や下部と同じ第3鰓弓部分からは嚥下の時に咽頭を挙上する茎突咽頭筋や舌咽神経ができます。
尚,喉頭の軟骨群は第4~6鰓弓由来になります。

 

 

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