2019美容矯正の解釈学
質問者:Miyo-Kさん(東京都世田谷区在住・雑誌社編集部ライター)
勝山先生に質問です。
最近、悲しい辛いニュースを見る時、本当に胸が苦しくなり、頭も重く感じたり、息が詰まったりして困ります。どうしてそうなるのか少し詳しくその関連性と、もし自分で手軽にできる何か早く楽になる方法があればその方法等を教えてください。
質問の回答です。
顔に現れる表情に応じて人の体の姿勢は変化します。またその逆に体の姿勢は顔の表情の変化をもたらします。
言い方を変えると、感情の変化は体の姿勢の変化と常に同時に起こるということです。
ここで少し感情と表情筋の関連メカニズムをお話しします。
例えば、怒りという感情がある時には、顔の眉は下方に傾斜して下がり、引き寄せられ、瞼は緊張します。
怒りでは、通常、額に横シワは現れません。もしあるとすれば、疲労によるものか老化によるものです。
怒りの時は目は食い入るように凝視し、唇は硬く押し付けられるか四角形で離れています。
この怒りと共によく混合する感情は嫌悪や軽蔑の表情です。
嫌悪がある時には、怒りの表情にミックスされて鼻に皺が寄り、下瞼は押し上げられ、上瞼は持ち上げられ眉が下がります。
さらに軽蔑や冷笑、嘲笑がある時にはそれもミックスされ、軽く閉じた唇の片方の端が持ち上がって隆起したり、時には頭を傾斜し視線は斜め下方に向く世に眼球を移動させます。
身体は同時に前かがみの姿勢になりがちです。
また、恐怖の感情がある時には、顔の眉は持ち上げれれています。
両眼は開き、上瞼は引き上げられ、下瞼は緊張しています。
この時、口は開き唇は後方に引かれ緊張します。時には頭を傾斜し視線は斜め上方に眼球を移動させたりします。
この時、身体の姿勢は通常全身を緊張させ縮めています。
慢性的な疲労やうつ的な状態の時には、目の周囲や眼輪筋の収縮は比較的少ないが額は前頭筋の収縮で眉が吊り上がってシワが寄り、口角が下がりオトガイにシワが寄ります。
身体はうなだれる姿勢(脱力姿勢)になります。
この様に顔の表情の変化と体の姿勢の変化は必ず連動します。
ここで少し体の姿勢についてお話しします。
突然の驚きやびっくりした時の反応には爆発的な息の呼息での停止があります。
そして、びっくりした時の反応は、呼吸周期の呼息期で停止する時に起こる連動したはっきりとした明瞭な姿勢があります。
そして、このパターンの繰り返しが、私たちを将来的に抑うつ状態に導く可能性があります。
基本的には、姿勢は神経系で支配された筋と筋膜のパターンの一つです。
つまり、理由は何であれ、マイナス(負の情動)のびっくりする驚きの感情はその後に大きく姿勢を変化させます。
日常、否応なし入ってくる嫌な情報等で引き起こされる、怒り(塊)、恐怖(すくみ)、うつ(落ち込み)などの負の情動は必ず姿勢の変化として現れます。
例えば、何か辛いことがあって落ち込んでいる人は一般にその感情を息が詰まるという身体的な形で表現します。
多くの落ち込んでいる人の胸部は吸息時に上方に向かって完全には動かず一般に沈んでいるようにみえます。
言い換えると、姿勢が良く、胸を張って「ひどく憂鬱である」という人は殆どいないということです。
一般的によく知られているストレス性の過呼吸症候群のような呼吸パターンの障害も筋骨格系に決定的な変化をもたらします。
専門の科学的研究データによると、心配、不安等の感情は殆どアルカリ度の上昇と関係し、それから自動的に生じたもので、その結果O2(酸素)CO2(二酸化炭素の排泄)比が変化し、血液のアルカリ化が引き起こされるとされています。
その結果、呼吸パターンは、上胸部型の呼吸を促進しています。
ちなみに、多くの人が経験する気分の落ち込みパターンの姿勢は、血液の化学的変化の結果を起こし、体の痛み感覚の感覚受容が亢進したり、不安感の出現や、呼吸補助筋(上部僧帽筋、斜角筋等)の使用過多を引き起こします。
そして、血管壁の平滑筋の緊張やヘモグロビンからの酸素の放出量の減少が起こるためにそれによる脳と筋肉の疲労がもたらされます。
突然のマイナスの驚き等より頸部や肩に疼痛のある人の例では
特徴として頭を前方に出す傾向、肩の挙上と突出、丸まった胸郭と脊柱彎曲の変化、骨盤前傾、膝の伸展傾向がみられます。
また恐れの反応は後頭部の深層の後頭下筋群を緊張させ頭部を後退させて反応します。
ここで重要なのは、予期せぬ突然のびっくりする反応は、体の前面に緊張を起こすということです。
多くの場合、頭蓋骨の側頭骨の乳様突起から前面の骨盤の恥骨に向かって引き寄せられています。
このことは、筋膜の連続性により、頸部を後方に過伸展させ頭部を前下方に動かすことになります。
さらに驚きの反応は、筋膜を通じて全身に伝播して体幹と上肢の肘の屈曲や下肢の固着が起こることになります。
この姿勢が長期化すると、結果的に体の前面の筋膜の緊張と短縮によって呼吸が制限されることになり息苦しさが継続することになります。
さらに、頭部の前下方への移動は体の背部と前部の両方に代償性の緊張を引き起こします。
この時に起こる背中や肩のコリや張りは前側の緊張が解消されない限り緩むことはありません。
結果、肋骨の運動が制限され、その影響を受けるように緊張が腹部にも走り、腹直筋から下肢へ進行してその途中で骨盤の鼠径部が短縮します。
そして、最終的に、横隔膜と骨盤隔膜の機能のバランスが崩れて、呼吸は横隔膜の前部の部分に過度に依存するようになります。
この時に生じる息苦しさを取り除くためには、体の姿勢と呼吸法が大切と考えられます。
基本的には、息苦しさの無い、楽な呼吸は肋骨の上方と外方の運動、及び横隔膜と骨盤隔膜の動きの相互関係で決まります。
対処法としては、一般的に広まっているヨガや体操などのエクササイズでも十分に効果があると思われますが、参考までに簡単なエクササイズを紹介いたします。
1、まずは、いすなどに腰掛けて片方の腰を浮かせます。
2、次に浮かせた側の坐骨と肛門の間に指を押し込みその指を後ろに引き出します。その状態で腰を前後に10回~20回程スイングします。
3、反対側にも同じことをします。この操作は骨盤隔膜のバランスをとるエクササイズです。
4、次に胸の中心の鎖骨の下に指を2本置きその指を少し広げながら肩の関節(肩鎖関節)まで移動しながら腕を外側に回します。この操作は上部肋骨の緊張を解消するエクササイズです。
5、次に胸郭の下部肋骨の前と後ろを片方づつ両方の手で軽く挟みます。
6、息を吐くときに軽く圧搾し押します。息を吸う時に軽く抵抗を加えた後すぐに緩めます。この操作は横隔膜の呼吸バランスをコントロールするエクササイズです。
7最後に横隔膜と骨盤のバランスをコントロールするエクササイズです
立位姿勢で片方の下肢を前に出し膝を曲げ、反対側の下肢を後ろに出来るだけ伸展させます。
8、両手は前に出した下肢の膝の上に置きます。
9、後ろに伸展した下肢を外側に回して踵を内側に向け(足の外反)体重を親指の内側にかけしっかり股関節を伸ばすようにします。
10、次に後ろに伸展した下肢を内側に回し踵を外側(足の内反)に向けしっかりと股関節を伸ばします。
11、この操作は横隔膜と同じ共通の付着部を有する骨盤内の大腰筋などのバランスを取るエクササイズです。
ちなみに
ストレスと深い関係があるのは胃、胸腺、副腎です。
特に副腎の機能低下(コーチゾンやアドレナリンの生成量の低下)は、アレルギー、情緒不安定、不眠症、神経過敏、エネルギー欠乏症、、集中力の欠如、錯乱、うつ的傾向、関節炎、慢性疲労、睡眠時の歯ぎしり、味覚敏感異常、顎関節異常、下痢、偏頭痛、月経前症候群、体のふるえ、神経チック症、ニコチン、アルコール、コーヒーへの依存、その他の興奮剤や薬物に対する強い欲求、過食、拒食、大腸炎、ホルモンの機能障害、免疫系の機能障害、学習困難、体重過多、十二指腸潰瘍、頻発性の傷等の長く続く痛み等多岐に渡り多くの問題を引き起こします。
筋骨格系に直接影響を受けるのは下肢の縫工筋、腓腹筋、ヒラメ筋、等の筋力低下です。
ある程度のエクササイズを繰り返してもあまり変化がないようでしたら、その分野の専門医の指導を受けられることをお勧めいたします。