体の動きで顔の形は変化する顔面美容力学
今月のメッセージは、立位での姿勢で顔が歪むメカニズムについてのお話しです。
毎回のメッセージで説明しているように、私たちの身体構造は全て一枚の筋膜の連続体が数百枚の鞘や袋に仕分けされて、筋骨格や内臓器官を隔離しそれぞれを適度な緊張状態に保って繋いでいます。
頭蓋骨も同じで、生きている人の頭蓋骨の各骨は伸張性コラーゲン組織により縫合部分で僅かに隙間があり、体の内外からの筋膜力学の作用に反応してバランスを保つために動きます。
この体全体の構造を保つための張力は、手足の先端の僅かな動きや変化でさえも頭蓋骨や顔面の筋膜へ伝わり、首や顔のシワ、浮腫み、弛みの原因になります。
たとえば、電車内で吊革に掴まり立っている状態を例に挙げると、片方の手で吊革にぶら下がると手の掌側の全体的な握りのために腕(前腕)から胸(大胸筋と小胸筋)が緊張します。
更に詳しくお話しすると、親指を強く握ると同じルートの最終地点が肩甲骨の前側の筋肉(小胸筋)を緊張させるため肩甲骨が肩の外側に移動し上に上昇して前側に移動するため肩が高くなります。
逆に小指を強く握ると、小指の背中側の筋膜も同時に緊張し肩甲骨は下に下がり肩全体が下に向かって下がります。
親指を強く握っている場合、首から下あごの浅筋膜が同じく緊張するためアゴの先端からエラまでは同じ側に移動して顎関節は反対側に移動してしまいます。
また、小指に力を入れると肩甲骨を固定するように力が働きさらに首の後ろから後頭部を下に引き下げるため、頭の後ろ側は下に下がり前側は上に上がるため頭の前後が捻じれてしまいます。
この両方の筋膜の同時緊張は最もポピュラーな顔の変形パターンであり、同じ側の頭の後ろと前の上下の捻じれを長期的に持続させる原因となります。
さらに反対側にバックや荷物を持つと、腕の重さ(約4㎏)にその重さが腕を通じて肩甲骨を通じて首の後ろから後頭部に伝わり、その力は側頭部の耳の穴を広く開き側頭部を外に張り出すことになります。
この場合も同じで、親指に力を入れると肩甲骨を前に移動させますが、同じ側の体の外側から足の外側に体重を移動させているため、骨盤から下の下肢の緊張が生じ、所謂O脚のできる原因となります。
この場合、O脚のひどい側の足が内反していると通常目が小さくなりますが、膝の裏の筋膜が緊張していると逆に目が大きくなります。
ただし、吊革に掴まっている手の側の肩にバックをかけて、反対側の手の親指で携帯メール等をしている場合はそれぞれの筋膜の伸長力や緊張バランスが変化して目の大きさは逆転します。
ここで、顔の上アゴ(上顎骨)が捻じれることについて少しだけお話しします。
バックや荷物を持っている側の足に体重を移動していると足の内側が緊張します。
この力は反対側のコメカミの骨を引き下げ目を小さくし、上あごの骨(上顎骨)の前側を下に引き下げるため前歯が反対が反対側より長くみえてしまいます。
そして同じ側の頬骨と上アゴが引き離されるように見えます。
よく、たびたび経験するバックや荷物を持っている側の反対側(吊革にぶら下がっている側)に起こる頭痛はこのメカニズムによるものです。
また、外反拇指がひどい側は上あご(上顎骨)が後ろに回転移動するため、前歯が上に上がり歯が反対側より短くみえます。
この場合、上あごが盛り上がり頬骨と上あごの距離が短く見え頬骨が外へ張り出てしまい横が広く見えてしまいます。
また、下アゴ(下顎骨)が左右どちらかに移動してしまうと、アゴの移動した反対側のおでこの筋膜を斜めに牽引してしまうため、おでこの張と反対側のアゴの張が同時に起こり斜めシワが顔全体にできてしまいます。
多くの場合、このタイプの頭の捻じれの人が抱えている問題は、アレルギー鼻炎や副鼻腔炎であり体中に痛みや凝りを訴えています。
また、このようなタイプの頭の捻じれを持つ人の肌質は、交感神経の緊張によりターンオーバーが低調になり、紫外線とは別にメラノサイトへの刺激がすすみシミの増加する原因となります。 . .