体の動きで顔の形は変化する顔面美容力学
今月(2月)は寝ている姿勢で顔が歪むメカニズムについてのお話しです。
このお話に入る前に述べておかなければならないのは、このお話の前提が一般的に知られている解剖学理論と違うということです。、
頭蓋骨は微小な弾力性のある軟部組織縫合により結合しているため、脳内の圧力や外部の筋骨格組織の力が頭蓋骨に加わることで僅かに動くことを前提にしています。
生きている正常な人間では、全ての頭蓋骨の縫合関節は一生涯の間、可動性を有しています。
部分的な異常な制限や障害は微小な動きが無くなるだけではなく、頭の輪郭や顔面の歪みの原因になります。
頭蓋骨の縫合内には神経や血管や膠原弾性繊維の筋膜が存在して、頭蓋骨の外の皮膚からの刺激や脳内の血管系と神経反射メカニズムにより常に受信交信をしています。
そして、これらの縫合部の接続部では頭蓋骨の外の骨膜が骨を接着閉鎖しておらず。
斜めの斜端方向に僅かに動きを許容するスペースが存在します。
この部位では、地震の時に起こる活断層の様に様々な圧力が加わることで、僅かに斜めに移動します。
簡単な例で云うとジグゾ―パズルの接触面が垂直に食い込んでいる場合は移動しませんが、各パズルの面が斜めの形で接触している場合、外から力がかかった場合斜めの接触面が僅かに上下にずれてしまいます。
このジグゾーパズルの全体を比較的弾力性のある外枠(筋膜・皮膚)で囲むと、その外枠はパズルの移動により変形してしまいます。
これが、頭蓋骨が動くということの構造上の根拠になっています。
ここで、重要なことは
これらの部位は全ての体の筋膜(数百枚)と繋がっているということです。
したがって、体の姿勢は最終的に顔面の位置を変化させることになります。
たとえば、立っている姿勢では、引力の関係で頭から足の方向に重力がかかるため、首の骨に頭部の重みがかかります。
また、立っているときは、顔面の骨は縫合部の下への伸長より前に凸で斜め下に移動します。
寝ている姿勢は、立っている状態とは違って頭部の重みは枕に接している後頭部にかかります。
したがって寝ているときは立っているときとは反対に顔面の骨は縫合部の圧縮により後ろ上方移動し凹み横に広がります。
専門的には頭部指数と云いますが、頭の縦の長さに対して横の長さの割合をだす数字に違いが生じます。
立っているときは、体重を支え保持する筋骨格系の筋膜全体の緊張により前後左右が体の中心(求心性)に向かって力が加わりますが、
仰向けに寝ているときは、前側の筋肉や内臓が敷き布団やマットと接触している背中に向かって、移動するため体は横(遠心性)に広がります。
頭蓋骨も同じように横にひろがりますが、特におでこの骨(前頭骨)が上あごの骨(上顎骨)から離れようとするため鼻筋の付け根(鼻根点)に段差が出てきてしまいます。
また後頭部の骨(後頭骨)の方向に近づくため横の骨の側頭骨が鱗状縫合と云う縫合構造の特徴の関係で頭頂骨の帽状腱膜の弛緩により更に横に広がてしまいます。
つまり寝ているときは四角顔に近づくことになります。
枕に対して頭がまっすぐの状態で寝ている場合いにはバランスが保たれますが、
頭を枕に対して傾けて寝ている場合いは、枕に密着している側は、頭蓋骨の縫合は締め付けられ筋膜は圧縮固定されます。
この関係で反対側では呼吸と脳内圧のバランスする働きの代償作用で縫合は開き筋膜は伸びてしまいます。
下側になっている側の頭蓋冠は固定されるため、顔面骨の眼窩は縮小し習慣化すると目が小さく見える様になってしまいます。
反対側では目が大きくなり頭蓋冠の縫合が拡張されるため眼窩は広がりっぱなしになります。
この状態でからだを丸めて両足を抱え込むように寝ると、腹筋の筋膜の緊張が増して胸の胸郭や首の筋膜が側頭部の骨(側頭骨)と続いているため後頭部から顔を前に付きだすように働き、結果的に眼窩を縮小してしまい目を小さく見れるように働きます。
また、どちらか片方の足を曲げて寝ると曲げた側の目は小さくなります。
同時に上の手を置いている手を握って腰に置いて寝ると目はやはり小さくなります
この状態で手を開いて寝ると目は大きくなります。
また、肘を胸に付くように引いて、下側の手で手枕を作った状態で寝ると同じ側の目が大きくなってしまい、
肘を上げて手枕を作ると目が小さくなります。
鼻と頬の部位では頬部の表情筋が下側へ移動するため鼻唇溝は深くなり法令線が深くなってしまいさらに長くなります。
顔面の鼻骨と上あごを構成している上顎骨は下になっている側に移動し、更に同じ下側の頬骨は前に突き出てしまい更に斜め横に広がります。
特に頻繁に起こる重要な歪みは
アゴの骨(下顎骨)の下側への移動です。
アゴの骨(下顎骨)の先端(オトガイ)も同じ側に移動して顎関節(下顎頭)の部分は外に移動し張り出てしまい頬全体が前に移動(下顎枝の前方外側移動)しアゴの筋肉を包む筋膜の張や咀嚼筋の筋力にアンバランスが生じます。
口を開けて寝ている場合は、特にひどく歪むため、朝起きた時には下になっていた側に鼻からアゴが曲がっており、口の開け閉めが上手くゆきません。
更に、上あごの骨に対して下あごがずれてしまうことで、上唇と下唇が互い違いにずれてしまい唇の形の対称性が崩れてしまいます。
これらの歪みは全て寝ている体の姿勢状態が途切れなく全身に続く筋膜の連続性が関係しています。
脳と体の神経系が信号や情報を伝達するスピードは時速10~270キロメートルですが、
姿勢の変化による筋膜網の骨や筋との縮む力(圧縮力)や伸びる力(伸張力)の情報を伝達するスピードは時速1100キロメートルと云われています。
筋膜系は神経系より3倍の速さで顔と体の変化や姿勢のコントロールをしていることになります。
また、筋膜の特徴は筋肉とは違い一度長期的に一定の力を同じ方向に加えると元に戻りずらい(筋膜の可塑性)特徴が有ります。
このことから云えることは
顔の歪みは、寝ている時の長期的な睡眠時間の姿勢習慣が原因の一つになっていると云うことになっているという結論になります。 . .